7弦ギター、クラリネット、パーカッションのトリオ編成。
ショーロのトリオかなと思ったら、ショーロの影響は色濃いものの、
もう少し幅広の音楽性を持ったインスト音楽を聞かせるグループでした。
主役は、7弦ギタリストのブルノ・ヴィンチ。
サンパウロでギターの先生をしているプレイヤーです。
ユニークなのは、パーカッショニストがコンガを中心に叩いているところ。
ショーロやサンバの打楽器であるパンデイロは、数曲で叩いているだけです。
ブラジルでコンガ型の打楽器といえば、バイーアのアタバキが思い浮かびますけれど、
アフロ色濃厚なマシーシや、キューバのルンバを取り入れた曲で、
コンガの起用がうまく生かされていますね。
全曲ブルノの作曲で、
サンパウロのヴェテラン7弦ギタリスト、ゼー・バルベイロに捧げた曲のほか、
アミルトン・ジ・オランダやフィロー・マシャードに捧げた曲があります。
高速ラインの長いキメのフレージングを生かした器楽的な曲作りが巧みで、
3人がピタリと息の合ったところを聞かせる、スリリングなプレイをたっぷり楽しめます。
ギターのタッチにもうひとつ粒立ちの良さが欲しいなんて、
プロのギターの先生に対して失礼ではありますが、
マルコ・ペレイラみたいな明快なタッチのギタリストが好きなので、
ちょっと欲張りな感想を持ったのが、偽らざるところ。
ギターの録り方が良くないのかも知れませんけれど、
もっと各楽器のダイナミクスに気を配った録音にすれば、
タイトルどおり「パーカッシヴ」になったはずで、その点がやや悔やまれます。
Bruno Vinci "PERCUSSIVO" no label no number (2015)