しみじみ、いいアルバムだなぁと、ため息がこぼれました。
スコットランド、アウター・ヘブリディーズ諸島のサウス・ウイスト島から登場した、
マイク・マクミランのデビュー作。
美しく澄んだその歌声が、スコットランド・ゲール語を鮮やかに響かせます。
スコットランド・ゲール語の歌に囲まれ、何世代にもわたるゲール語文化の伝統を、
生活として学びながら育ってきた人であることが、
その歌いぶりにくっきりと刻印されていますね。
ライナーには、イシアベイル・T・マクドナルドから多くの歌を習ったとあり、
その女性がどのような人かはわかりませんが、
おそらく地元で高名な歌い手なのでしょう。
サウス・ウイスト島で女性たちが伝えてきた歌を教わりながら、
じっくりと時間をかけて、自分のものとしてきたんですね。
ライナーにゲール語と英語で、各曲の歌詞と歌の背景が書かれてあり、
マイリの歌に対する深い愛情が伝わってきます。
アルバムをプロデュース、アレンジしたマイリ・ホールが弾くピアノと
足踏みオルガンのハーモニウムに、フィドル、ギター兼バグパイプ、
ハープの4人が、繊細な表現力で歌の生命力を最大限に引き出していきます。
メンバーによるヴォーカル・ハーモニーも、
力強さと繊細さをあわせ持つ美しさがありますね。
ハープを弾くレイチェル・ニュートンは、ケルト・ハープのクラルサックと
エレクトリック・ハープを使い分け、伝統と現代を繋いでいます。
スコットランド・ゲール語による伝承歌集の名作が、またひとつ誕生しました。
Màiri MacMillan "GU DEAS" Màiri MacMillan MMM1CD (2021)