うーん、胸をすくフナナー・アルバムですねえ。
のっけから、ガイタ(アコーディオン)とフェローが急速調のリズムを刻む、
痛快なフナナーが飛び出して、アルバム最後まで突っ走ります。
いやぁ、このエネルギーはスゴイですよ。
よくまあ飽きさせず、同じBPMのフナナーを12曲も聞かせるなあというか、
それだけの実力が、このグループにはありますね。
なんといっても、集中力が圧倒的ですよ。
歌手が3人いるんですけど、一番多くの曲を歌っているゼゼー・ジ・ジョアナが、
野趣に富んだノドをしていて、いい味を出しているんだなあ。
(ジャケット中央の、女性と顔を寄せている男性がゼゼー・ジ・ジョアナです)
奴隷文化が育んだフナナーのアフロ成分たっぷりの歌いっぷりですね。
メンバーはジャケットに写る8人。ガイタ(アコーディオン)とフェローに、
リズム・セクションがつくだけの、伝統フナナーの編成なんですが、
じっくり聴いてみると、パーカッション音を打ち込みで補強しているなど、
クレジットには記されていない、工夫の跡がうかがえます。
グループのバイオがよくわからないんですが、
いかにも自主制作ぽい、冴えないジャケットの旧作3枚の写真を見つけました。
サンティアゴ島のローカル・グループなのかなあと思ったら、
リスボン郊外のカーボ・ヴェルデ移民コミュニティから
出てきたグループだそうです。
YouTube にあがっている、寒々とした空の下の街角で、
ライス・ジ・フナナーの演奏にのって厚着した人々がダンスをしている
街角の舞台は、きっとリスボンなのですね。
Raiss Di Funaná "DJA BEM PA KA PARA" no label no number (2014)