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グルーヴを取り戻したポップ・フナナー フォゴ・フォゴ

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Fogo Fogo  FLADU FLA.jpg

カーボ・ヴェルデ音楽の旧作が続きましたけれど、これはピカピカの新作。
リスボンから登場した新人グループなんですが、
なんとカシンのプロデュースだということに、え~???
なんでまたカシンが、カーボ・ヴェルデ音楽に手を出したんだろか。
予想だにしなかった組み合わせに、いささか警戒しながら、聴き始めましたよ。

1曲目から、いきなり80年代ポップ・フナナーを焼き直した、
チープ感溢れるシンセ・サウンドが飛び出して、口あんぐり。
オーセンティックな伝統ガイタが見直されるようになった今になって、
またぞろ大昔の安直なエレクトリック・フナナーを聞かされるとは。
かつてブリムンドやフィナソーンがやっていた、ポップ・フナナーまんまじゃないの。

それにしても、この古臭い音づくりを再現するとは、アキれたもんだ。
ヴィンテージ感漂う70年代MPBサウンドから、あえてチープな要素を抜き出すような、
オタク趣味のカシンらしい変態ぶりが発揮されています。
続く2曲目のイントロでも、ぴろぴろとヤスっぽい鍵盤音が響きわたり、
あ~あ、こりゃもう、完全にネラって作ってんなと、わかるわけなんですが、
あれ? でもこの曲ではフェローのリズムがちゃんと聞こえてきますね。

クレジットを見ると、二人いるギタリストの一人に
フェリーニョ(フェローの別名)というクレジットがあり、
じっさいにフェローを使っているようです。
う~む、こういうグルーヴが、かつてのポップ・フナナーにはなかったんだよな、
そう思いながら聴き進めていくうち、最初の悪印象がだんだん薄れていきました。
フェローなどのパーカッションが小気味よいグルーヴを生み出していて、
リズム・セクションがフナナーのビートを強調し、腰にグイグイと刺さってきます。

80~90年代のポップ・フナナーに欠けていた、
フナナーのグルーヴを取り戻していて、うん、これならいいじゃないですか。
シャンド・グラシオーザの曲も1曲取り上げていますよ。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-02-27
インタールードでシンセがサイケデリックに展開していくところもカッコよく、
こういうポップ・フナナーなら支持できますね。

フォゴ・フォゴは、ギター2、キーボード、ベース。ドラムスのポルトガルの5人組。
メンバーの出自は明かされていませんが、
カーボ・ヴェルデ系移民二世のポルトガル人ばかりでなく、
モザンビーク出身者もいるようです。

ジャケットがなかなか強烈ですね。
中央に、独立闘争時のギネア=ビサウの革命家アミルカル・カブラルがドーンと描かれ、
左には、少年期にアンゴラとモザンビークで暮らした
コインブラのファド歌手ジョゼ・アフォンソと、
プロテスト・シンガー・ソングライターのジョゼ・マリオ・ブランコが、
そして右にはブラジルのチム・マイア、ジャマイカのリー・ペリーが描かれています。
奴隷文化の見直しという文脈とはまた別の、政治的、社会的なリファンレンスとして
フナナーを再評価する、フォゴ・フォゴの意図が汲み取れます。

Fogo Fogo "FLADU FLA" Rastiho 217CD (2021)

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