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未来に開かれたジャズ コマ・サクソ

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Koma Saxo with Sofia Jernberg  KOMA WEST.jpg

ウィ・ジャズというフィンランドのレーベル、面白いなあ。
年初め、リンダ・フレデリクソンのユニークな作品に感じ入ったんですけれど、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-01-23
続き番号でリリースされた、ベルリンで活動するスウェーデン人ベーシスト、
ペッター・エルドのユニットの新作が、これまた輪をかけてユニーク。
このレーベルからは、目が離せなくなりそうですね。

コマ・サクソは、ベース、ドラムスに3管サックスのクインテット。
このメンバーで19年にデビュー作を出しているそうで、そちらは未聴なんですが、
今作はソフィア・イェルンベリのヴォイスを全面的にフィーチャーして、曲により
ピアノ、ヴァイオリンとチェロ、アコーディオン(ペッター・エルドのお母さん!)が
加わった作品となっています。

3分前後の短い14曲が収録されているんですけれど、
ミニマル・アートを思わせるようなアルバムですね。
サックス3管の武骨なリフに、ソフィアのヴォイスが
ソプラノ・サックスのように絡みつくアレンジや、
ギクシャクしたビートとルバートのパートを、巧みに楽曲に構成するなど、
作曲とアレンジに詰め込まれたアイディアが聴きどころ。

曲はどれもしっかりと構成されているんですけれど、演奏には自由度があり、
ビート・ミュージックを展開する曲あり、フリ-・ジャズの展開をみせる曲ありで、
多彩な楽曲に対応する、柔軟な演奏力が発揮されています。

ペッター・エルドはベースだけでなく、
サンプラー、ピアノ、パーカッションも演奏しているんですね。
ヴァイオリンとチェロの二重奏で始まり、ソフィアのヴォイスが絡む
室内楽的な曲など、美しい印象画を観るかのようで、
サウンドトラックにも使えそうな曲が、このほかにもあります。

本作は、ペッター・エルドが育ったスウェーデン西海岸の民謡をモチーフとして
作曲したのだそうで、ミニマルな技法を使った作品でありながら、
どこか牧歌的で親しみやすさをおぼえるのは、伝統的なメロディゆえなのですね。
物語を生み出す楽曲とアレンジ、未来に開かれたアンサンブルが、
新しいジャズの風景を拡げているのを実感させてくれる作品です。

Koma Saxo with Sofia Jernberg "KOMA WEST" We Jazz WJCD41 (2022)

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