ここ数か月ボニー・レイットの新作を、ず~っと愛聴しているんですけど、
ブログの記事を書きそびれてしまって、ちょっと後悔してます。
基本このブログには、気に入ったCDを必ず書き残すようにしているんだけど、
書くタイミングを逃しちゃうことも、たまに起こるんですよね。
おぉ、これはいい!っていう、出会い頭のイキオイですぐ書かないと、
ヘヴィー・ローテションとなったあとでは、熱が冷めちゃうんですよ。
ここのところ良作目白押しの豊作状態が続いているせいか、
書いておきたい作品がイッパイで、取りこぼしてしまうのも、中にはあります。
まぁ、ボニー・レイットほどの大物なら、
なにもぼくが書かんでも、いくらでも書くべき人が他にいますしね。
そのかわり、ぼくが書かなきゃ誰も取り上げそうにないアルバムは、
どうしたって優先したくなるのが、人情ってもんです。
で、ニジェールのデザート・ブルース・ギタリストのボンビーノ。
来日もしたからすでに日本ではお馴染みの人だし、そこそこファンもいるはずなのに、
新作が出たのに、ちっとも話題になっていないように思えるのは、気のせい?
前作も前々作も記事にしたから、今回はもういいかなんて横着気分でいたんですけど、
なんだか心配になって、取り上げることにしました。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2013-05-10
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2011-03-30
アメリカのレーベルと契約して3作目となる今作、
クンバンチャ、ノンサッチと渡り歩いてきたわけですけれど、
今回は、ブルックリンのパルチザンからのリリース。
メジャーではないけれど、しっかりとしたポリシーのあるレーベルを選んでいて、
ボンビーノはいいキャリアを積んでいますね。
クンバンチャではロン・ワイマン、ノンサッチではダン・オーバックが
プロデュースを引き受けていましたが、今回は、ダーティー・プロジェクターズの中心人物、
デイヴ・ロングストレスをプロデューサーに、デイヴィッド・レンチをミキサーに迎えて、
ウッドストックでレコーディングをしています。
一聴すごく整理された印象で、
広くロック・ファンにアピールするギター・アルバムとなりましたね。
はっきりいってボンビーノのヴォーカルは弱いし、ブルージな味わいにも乏しい人なので、
軽快なギターの魅力を全面展開して、もっとロックぽくしちゃえばいいのにと思っていたら、
そのとおりのアルバムとなっていたのでした。
ローファイなサウンドで、ヴォーカルの弱さをカヴァーしていた前作に対し、
今回はクリーンなサウンドにするかわり、ヴォーカルにハーモニーを付けて補強しています。
そのうえでヴォーカル・パートを引っ込めたミックスにして、
ギターを前面に押し出したギター・アルバムに仕上げたのが成功しています。
どの曲も、ツカミのあるギター・リフやブレイクに耳を奪われ、はっきりいって、歌は添え物。
しゃきっとしたリズム・セクションに、キレのいいギターがよく映えます。
フレージングにムダがなく、弾きっぷりも確信に満ちていますよ。
各曲とも短いエンディングで、バチッと終わるところなど、絶好調の証じゃないですかね。
ともすると、ダラダラとしたジャム・バンド的な演奏になりがちなデザート・ブルースですけれど、
このアルバムにはそういう場面は、いっさい出てきません。
ボンビーノの曲作りもうまくなって、起伏のある曲が書けるようになり、
ギター・リフやブレイクを浮き立たせる曲の構成やアレンジが巧みになりました。
エレクトリックとアクースティックの曲の使い分けも良く、
新たに、タルティットの女性歌手をバック・ヴォーカルに起用したのも大正解。
女声のウルレーションが加わると、サハラのムードがぐっと盛り上がり、華やかになりますね。
これで売れなきゃウソでしょと、思わず応援したくて、ここまで書きつらねてみたら、
なんとこの新作、ちゃんとユニバーサルから日本盤が出るとのこと。なんだぁ。
やれやれひと安心。ロック・ファンも、ぜひ聞いてみてね。
Bombino "AZEL" Partisan PTKF2135-2 (2016)