これぞ、サザン・ソウル!
黒汁ほとばしるディープな歌声に、もう身悶えするしかありません。
ブルージーで味のあるヴォーカル、う~ん、めっちゃ好みだわ~。
アヴェイル・ハリウッドことクリストファー・エステルは、
83年、テキサス州テクサーカナ生まれ。
父親がゴスペル・グループのギタリストで、二人の姉妹とともに、
5歳から教会で歌ってきたゴスペル育ちのシンガーだそう。
その歌声を聴けば、ゴスペル育ちであることはイッパツでわかりますけれど、
面白いのは、教会では歌手としてよりも、ドラマーとして活躍していたのだそう。
95年にギタリストの父と二人の姉妹の歌手を含むゴスペル・グループ、
シェイズ・オヴ・エボニーのドラマーとしてプロ入りし、
98年にウィリー・クレイトンのレーベル、クレイタウンと契約しています。
ステイプル・シンガーズみたいなグループだったんですかね。
このほか、同郷のテクサカーナのシンガー、カール・シムズや
ドニー・レイのドラマーとしても活躍。
00年にシェイズ・オヴ・エボニーが解散すると、
メンバーだった妹ロレイン・エステルのソロ・アルバムなどのプロデュース業を経て、
自身のレーベル Nlightn を09年に立ち上げ、歌手デビューしています。
ユニークなステージ・ネームは、子供の時に見たエルヴィス・プレスリーのポスターに、
「プレスリー、ハリウッドで発売中」を見て、ひらめいたんだそう。
アヴェイルは、avaiable を縮めたものなんだね。
これまでに、かなりの数のアルバムをリリースしているようなんですが、
ぜんぜん気付かなかったなあ。
昨年出た本作は、ギャングスタ・ラップのアルバムかとみまがう表紙ですけれど、
ナカミは生粋のコンテンポラリー・サザン・ソウル。
ナレーションをフィーチャーした、
ヒップ・ホップ世代のサザン・フィール溢れるタイトル曲に、
調性の狂った転調をする‘Chocolate Hennessey’ など、非凡な意外性もあります。
アヴェイルが「グロウン・フォークス・ミュージックの帝王」と
呼ばれているという記事を読んで、
グロウン・フォークス・ミュージックというタームを、初めて知りました。
「成熟した大人のための音楽」とは、アダルト・オリエンテッドR&Bと同義語でしょうか。
Avail Hollywood "MISSISSIPPI RIVER" Nlightn no number (2021)