ひさしぶりに「ハワイ」の棚から、CDをいろいろ取り出して聴いてみたんですけど、
リゾート気分を味わうなら、やっぱりウクレレの神様、オータサンが鉄板ですね。
88年のカセット作を93年になってCD化した“WHERE IS MY LOVE TONIGHT”、
これぞ究極のイージー・リスニング・アルバムです。
オータサンのウクレレに、ベース、ギター、キーボード、パーカッションという編成で、
ジョニー・ノーブルやジャック・オウエンス(ブルース・シンガーじゃない)といった、
アメリカ本土で流行した偽ハワイアンのハパ・ハオレ(半分白人の意)・ソングを
ずらり並べて演奏しています。
マヒ・ビーマーのような伝統ハワイ音楽とは対極の観光音楽ですけれど、
伝統音楽では味わえない、観光ショウ音楽ならではのリラクシン・ミュージックの粋が、
ここには詰まっています。
オータサンの見事に力の抜けたウクレレ演奏は、名人芸そのもの。
独特の奏法を編み出したウクレレのパイオニアでありますけど、
最近まで RIO の才気走ったウクレレを聴いていたせいか、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-06-04
ウクレレの神様と呼ばれるまでになったヴァーチュオーゾの境地は、
テクニックなんてレヴェルをとうに乗り越えていて、
ポロンと鳴らしただけの音に、とてつもない深みを宿しているのを感じます。
この作品でベースを弾いている、ライル・リッツのCDも引っ張り出してきました。
ライル・リッツはアメリカ本土人。
フランク・シナトラやビーチ・ボーイズという大物のバックでベースを弾いてた人ですが、
ウクレレの名手でもあったんですね。
58年と59年に、ヴァーヴからジャズ・ウクレレのアルバムを出していて、
「その他楽器」ジャズが好きなぼくとしては、忘れられない人。
95年に突然カムバック作を出したのには、驚かされました。
ベース、ドラムスのシンプルな編成(一部ヴォブラフォンも参加)で、
ヴァーヴ時代の曲を再演していて、演奏に深みがグンと増しているんですね。
オータサンのCDとあわせて、このCDもずいぶん愛聴したものです。
ウクレレ・ソロで弾いた滝廉太郎の「花」の愛らしさが、極上ですよ。
Ohta-San "WHERE IS MY LOVE TONIGHT" Roy Sakuma Productions RSCD3888 (1988)
Lyle Ritz "HOW ABOUT UKE?" Verve B0001458-02 (1958)
Lyle Ritz "TIME…" Roy Sakuma Productions RSCD5583 (1995)