またも新たなるトゥアレグ人バンドの登場です。
イマルハンは、アルジェリア南部の都市タマンラセット出身の5人組。
プレス写真を見ると、皮ジャケにジーンズで決めたルックスでキメていて、
トゥアレグの伝統衣装をまとった先達のバンドとの違いを印象付けています。
ライナーのクレジットを見ると、
13年12月にアルジェで録音された1曲のほかは、
14年12月と15年11月の2度に分けてフランスでレコーディングされていて、
じっくりと時間をかけ、本デビュー作が制作されてきたようですね。
その成果がしっかりと表われた、丁寧な仕上がりになっていますよ。
ティナリウェンやタミクレストのようなディープなブルージーさはないとはいえ、
抑制の利いたサウンドは、デビュー作と思えぬ落ち着きを感じさせます。
曲ごとにアクースティックとエレクトリックを使い分けていて、
小回りの利いたエレクトリック・ギター・リフが、
軽やかなファンク味をはじき出すアップ・テンポの曲では、
若々しい小気味よさを発揮しています。
バンド・リーダーで歌手兼ギタリストのサダムのつぶやくようなヴォーカルが個性的で、
淡々と詩を綴る繊細な歌いぶりに、惹きつけられます。
スロー・ナンバーでのサダムのつぶやきヴォーカルは、
サハラの蜃気楼を見るかのような幻惑を覚えました。
プロデュースにティナリウェンのベーシスト、エヤドゥが加わっているので、
どういう縁かなと思ったら、サダムと従兄弟関係だそうで、
エヤドゥの曲やサダムとエヤドゥの共作曲が数多く収録されています。
数多くのトゥアレグ・バンドの中で、今後どのように発展していくか、楽しみなバンドです。
Imarhan "IMARHAN" City Slang/Wedge SLANG50094 (2016)