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ハーモロディックとコンテンポラリー・ジャズの結婚 マイケル・グレゴリー・ジャクソン

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Michael Gregory Jackson Clarity Quartet  AFTER BEFORE.jpg   Michael Gregory Jackson  CLARITY.jpg

マイケル・グレゴリー・ジャクソン?
誰だっけ? はじめはなかなか思い出せず。
76年にESPからレコード出してた人と言われて、ようやく思い出しました。
あぁ、あの、不思議ちゃんかぁ。

オリヴァー・レイク、レオ・スミス、デヴィッド・マレイという、
フリー/アヴァンギャルド系のツワモノたちをバックに、
構成力のあるしっかりとしたラインを弾くギター・プレイと、
不穏な静謐さを持った作曲能力をあわせ持つ、ギタリストでしたよね。

ただ、ぼくが「不思議ちゃん」というのは、
そんな演奏の合間で、ふにゃふにゃの脱力ヴォーカルを聞かせるところで、
前衛ジャズに突然マイケル・フランクスが紛れ込んだかのような
その場違いぶりに、変な人だなあという印象が残っていたんです。

ぼくはマイケルのそのデビュー作、ESP盤1枚しか知らず、
ほかのマイケルのアルバムを聴いていないんですが、
80年代に入ると、エンヤからギター・ソロを出す一方で、
ナイル・ロジャースのプロデュースでポップ路線のアルバムを作ったりしていて、
その才能の発揮ぶりも、なかなか不思議ちゃんだったみたいですね。

で、そんなすっかり忘却の彼方にあった名前だったんですが、
突然出た新作に、すっかりマイあがってしまいました。
ESP盤でも披露していたフリー、モーダルのどちらもいけるギター・スタイルで、
アブストラクトとジャジーを弾き分けているんですが、これがどちらも見事なんですよ。
鋭角に切れ込むシャープなギターの切れと、緻密に構成された長いソロ・ワークは、
ジェームズ・ブラッド・ウルマーとケビン・ユーバンクスの二人を合体させたかのようです。

相変わらずの不思議ちゃんヴォーカルが登場する、フォーキーな曲もあるんですが、
さすがは70年代から活躍するヴェテラン、
新世代のコンテンポラリー・ジャズにありがちな欲求不満を感じさせない、
吹っ切れた演奏ぶりが快感です。
オーネット・コールマンに捧げられた1曲目なんて、
ウルマー、ロナルド・シャノン・ジャクソン、デヴィッド・マレイ、アミン・アリによる
ミュージック・レヴェレイション・アンサンブルの大傑作“NO WAVE” が蘇ったかのよう。

共演しているのはぼくの知らないデンマークのミュージシャンたちなんですが、
スリリングなソロでマイケルと渡り合う、
シモン・スパング・ハンスンというサックス奏者のプレイは聴きもの。
コンテンポラリー・ジャズとハーモロディックが結婚したら、こんなんできました、でしょうか。

Michael Gregory Jackson Clarity Quartet "AFTER BEFORE" Golden MGJCQ003 (2015)
Michael Gregory Jackson "CLARITY" ESP-Disk’ ESP4028 (1976)

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