えぇ? ホントにこのジャケット写真の彼が歌ってんの?
驚きました。ネオアコとかやってそーな(←ヘンケン入ってます)
甘いマスクのイケメン男子なのに、
こんな酒ヤケしたようなハスキー・ヴォイスで、やさぐれヴォーカルを聞かせるなんて。
いやぁ、胸をすくねえ。いい歌いっぷりじゃないの。
さらに、新人のデビュー作としては破格ともいえる、
ゴージャスなプロダクションにも驚かされます。
一聴して、超一流のポップス職人が関わっていること明々白々なサウンドで、
リンコン・オリベッティのアレンジと聞いて、あぁ、やっぱりとナットク。
一級品のポップスに仕上げるツボを押しまくったアレンジはまさしく職人芸的で、
リンコンって、ブラジルのアリフ・マーディンといえるんじゃないですかね。
カシンがプロデュースを務めているところも、話題を呼びそうですけれど、
カシンらしい不穏なギターが活かされたトラックより、
リンコンの手腕が発揮されたホーン・アレンジの方が、耳を引かれるなあ。
それなのに、なぜかリンコンのクレジットが目立たないのが解せませんけど。
最近日本に入ってきたばかりのCDですが、14年にリリースされたものだそう。
制作にカシンとリンコン・オリベッティが関わったアルバムながら、
話題にも上らずにいたというのは、ますます解せませんねえ。
二十年前くらいなら、大メジャーからリリースされていて当然のクオリティなのに、
インディペンデントのリリースというのも、今のレコード業界事情でしょうか。
ジョルジ・ベン、チン・マイア、セウ・ジョルジが好きな人ならゼッタイの、
サンバ・ロック/ブラジリアン・ソウルの痛快作です。
Tom Rezende "TOM" Dueto no number (2014)