うわ~、器用だなあ。
ソンにキューバン・サルサ、ダンソーン、ラテン・ジャズ、トローバ、グアヒーラ、
最後にはチャングイまでもと、多彩なスタイルを流麗に聞かせます。
その演奏があまりにも鮮やかすぎて、
ひっかかりがないことに不満を募らせるのは、年寄りの悪い癖。
だってさあ、スムースすぎません? オールド・キューバンの野趣な味わいを知るオヤジには、
なんだかなあという感想を拭い去ることができません。
なんてブツブツ言ってたくせに、毎夜CDをトレイに載せて、
プレイボタンを押してるんだから、なんだ、気に入ってんじゃん、自分。
アフロ・キューバン・オールスターズのフアン・デ・マルコス・ゴンサーレスの右腕として活躍してきた
若手敏腕ミュージカル・ディレクター、アチ・ラングの新作です。
参加したミュージシャンの顔ぶれが豪華で、
アマディート・バルデース、バルバリート・トーレス、
マラカ、ロランド・ルナといった超一流どころがずらり。
そんな豪華メンバーの技をきっちり浮かび上がらせるアレンジとデイレクションは、
アチ・ラングの得意とするところで、しっかりと計算され尽くされているからこそ、
これほどスムースに聞けるってわけですよね。
DVDのコンサート・ライヴも、見どころが満載。
バルバリート・トーレスのラウーの超絶技巧に、マラカのフルート・ソロ、
アマディート・バルデースの肩の力の抜けたティンバレス・プレイは、
いかにもお爺さんといったその外見から想像できないシャープさで、脱帽・降参・悶絶。
アフロ・キューバン・オールスターズの歌い手テレーサ・ガルシア・カトゥルラ(テテ)も
味わい深い歌を聞かせるほか、アチ自身の歌が上手いのにも感心させられました。
ピアノ、ギター、ヴァイオリンというマルチ演奏ばかりか、どんだけ才能あるんだ、この人。
キューバの伝統を前進させるのは、こういう人なんですねえ。
[CD+DVD] Achy Lang Y El Afrocuba "ABRIENDO EL CAMINO" Producciones Colibrí CD/DVD258 (2012)