クラウジオ・ジョルジといえば、今年のはじめにアウグスト・マルチンスとの共作で、
サンバ・ファンの頬を緩ませる快作をリリースしたばかりですけれど、
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2016-02-22
クラウジオの息子さんが、サンバ/MPBの良心的レーベル、
フィーナ・フロールからアルバムをリリースしたのには、驚かされました。
その息子の名は、ガブリエル・ヴェルシアーニ。
デビュー作かと思いきや、すでにこれが2作目とのこと。
ギタリスト、コンポーザーとして、すでにキャリアを積んでいる人だそうで、
本作でも父親ゆずりのソングライティングの才能が光っています。
本作のプロデュースを務めたのは、父親のクラウジオ・ジョルジ。
サンバの名シェフとも称されたクラウジオ・ジョルジは、
カルトーラとの共作曲もあるほど、長いキャリアを持つコンポーザーで、
ギタリストとしてもマルチーニョ・ダ・ヴィラをはじめ、
小野リサやサンディーとの共演歴もあるなど、数多くの歌手の伴奏を務めてきた人です。
サンバとMPBを併せ持った同じ資質の息子をプロデュースするのは、最適任でしょう。
そして本作の目玉は、ブラスバンドのオルケストラ・クリオーラを起用したこと。
サックス奏者ウンベルト・アラウージョが中心となり、
リオで結成されたオルケルトラ・クリオーラは、カリブ音楽ふうのグルーヴを
古いサンバに持ち込んだユニークな楽団で、本作に爽やかなサウンドをもたらしています。
サンバでホーンズといえば、ダンサブルなガフィエイラのサウンドが連想されますけれど、
そんな熱を感じさせない、もっとクールな雰囲気のあるウンベルト・アラウージョのアレンジは、
ボサ・ノーヴァやジャズを感じさせ、シャレたガブリエルの楽曲と見事にマッチしています。
アタマからシッポまで生演奏で占められたMPB、
親しみやすいポップさが嬉しいアルバムです。
これでガブリエルの歌に、表情がつくようになれば、言うことなしだな。
Gabriel Versiani "AINDA SAMBO" Fina Flor FF063 (2016)