ひさしぶりにピーター・バラカンさんのラジオ番組
NHK-FMウィークエンドサンシャインから、お呼びがかかりました。
いつもの1時間40分番組ではなく、夏の特番で3時間40分という拡大版でのゲスト出演です。
夏の特番への出演は、5年前に原田尊志さんと一緒に呼ばれた「カリブ海クルーズ」以来ですねえ。
ピーターさん、以前からフェラ・クティをじっくりと取り上げて特集したかったとのことで、
その相手役にとご指名されたんでした。
え~? でも、フェラ・クティを特集するのなら、
生前のフェラを取材した日本人ジャーナリストが何人もいるのに、
ワタクシでいいんですか?と最初ためらったんですが、是非ということだったのでお引き受けしました。
そんじゃあというわけで、フェラの生涯ときっちりと向き合い、
ファミリー・ヒストリーに始まり、幼少期から亡くなるまでの軌跡を追いながら、
アフロビートの音楽性を浮き彫りにした、番組構成案を立てさせてもらいましたよ。
たたき台のつもりで、選曲を含めた構成を作って提示したところ、
ピーターさんも番組ディレクターも、これで行きましょうと、そのまんま即決。
冒頭1曲目のフェラ・クティとの出会いのきっかけの曲のみ、ピーターさんに選曲してもらい、
あとは全部ぼくの選曲となってしまいました。
思えば、5年前にカリブ海音楽を特集したいという企画案をピーターさんからもらった時も、
アメリカのマイアミからバハマに出発して、カリブ海をぐるっと一周して、
南米・中米に停泊しつつ、最後はニュー・オーリンズに帰ってくるクルーズのアイディアを出したら、
それがそのまま番組構成になったんだよなあ。
選曲も、原田さんにキューバとプエルト・リコをお任せしたほかは、
全部やらせてもらっちゃったんだっけ。
ゲストに呼ばれて、ただトークするだけではなくて、
番組の構成や選曲をさせてもらえるのは、やりがいもあって、嬉しく楽しい限りです。
気心の知れたピーターさんの番組だからこそできることで、ピーターさんに感謝であります。
今回リスナーのみなさんにも、聴きものを用意しようと、
ランサム=クティ家の紹介ということで、
フェラのお祖父さんのキャノン・ジョシア・ジェシー・ランサム=クティ牧師の2曲を選曲しました。
これは13年にドイツのベア・ファミリーが出した、500部限定44枚組ボックス“BLACK EUROPE” で
初CD化されたもの。あのボックスを買った人はそうそういないと思うので、
ジョシア・ジェシー牧師の賛美歌を聴くのは初めてという方が、多いんじゃないでしょうか。
ヨルバ・キリスト教会の草分けとして伝説的な人物となったジョシア・ジェシー牧師は、
67歳の時イギリスに招かれ、22年6月にロンドンで自作のヨルバ語の賛美歌43曲を録音します。
録音はイギリス、グラモフォン社のゾノフォン・レーベルから出され、21枚のSPが発売されました。
ゾノフォンには全世界向けの3000番台シリーズと
南アフリカ向けの4000番台シリーズがあったんですが、
ジョシア・ジェシー牧師は3000番台シリーズで出た、シリーズ初のアフリカ人歌手だったのでした。
選曲のため、あらためてボックスに収録された
ジョシア・ジェシー牧師の41曲をじっくり聴き直しましたが、
ピアノ伴奏の賛美歌という形式ではあるものの、低音で朗々とよく響く歌声は魅力的で、
メロディにヨルバらしさがはっきりと感じ取れるところも、とても興味深いものです。
放送は30日土曜日、朝の7時20分から11時までです。ぜひお聞きください。
Rev. J.J. Ransome-Kuti "BLACK EUROPE VOL.37-39" Bear Family BCD16095-37,-38,-39