これぞブラジル人にしかできないジャズ、ブラジリアン・ジャズここにあり、ですね。
ドミンギーニョス亡きあとのブラジルを代表するサンフォーナ(アコーディオン)奏者
トニーニョ・フェラグッチの新作。
トニーニョ・フェラグッチは、サンパウロ出身ながら北東部や南部の地方音楽にも精通し、
MPB、クラシック、ジャズと八面六臂の活躍をしているミュージシャン。
この新作でソロ10作目を数えるそうですが、
これまでもヴィオラ・カイピーラとの共演やチェンバー・ミュージックなど、
さまざまな音楽に挑戦して、意欲的な作品を作り続けています。
ジャズ・サイドでは、マリア・シュナイダー・オーケストラとの共演歴があり、
本作の作編曲にも、マリア・シュナイダーの影響がうかがわれます。
豊かな色彩感のあるソングライティングと、
アンサンブルを重視したソロとアンサンブルのスムーズなアレンジは、
マリア・シュナイダーのオーケストレーションと強い親和性を感じさせるものでしょう。
作曲はすべてトニーニョ。
いきなり冒頭がクレツマーなのに驚かされましたけれど、
フォローあり、フレーヴォあり、マラカトゥあり、サンバ・カンソーンありと、
多彩なブラジルのリズムに加えて、ワルツやタンゴ、
アラブ風のメロディの飛び出す曲もあり、実にカラフルなアルバムとなっています。
トニーニョのアコーディオンに、サックス、ギター、ベース、ドラムスのキンテート編成で、
トニーニョが蓄積してきた音楽性が、縦横無尽に発揮された快作。
アミルトン・ジ・オランダ・キンテートと肩を並べる、
現代ブラジリアン・ジャズの傑出したグループですね。
Toninho Ferragutti Quinteto "A GATA CAFÉ" Borandá 5.071.350 (2016)