アフリカのヴィンテージ録音でリリースされるのは、欧米の研究者による編集盤ばかりで、
当のアフリカからは、まったく登場しなくなってしまいましたね。
ジュジュ、ハイライフ、アパラなどの古いレコードを
せっせとCD化しているナイジェリアが例外中の例外といえますけれど、
ほかの国では、若者が古臭い音楽を必要としていないし、
オールディーズを懐かしむ中高年層も存在しないってことなのかなあ。
そんなことに思いを巡らしたのは、
珍しくアフリカ人の手によるリイシュー盤が届いたからなんですね。
コンゴ共和国がフランスから独立した58年にブラザヴィルで結成された伝説のバンド、
ネグロ・バンドの60年代末録音集です。
これまでネグロ・バンドの録音は、60年代前半のシングルから10曲をCD化した
フェモカ盤が1枚ありましたが、貴重な内容ながら、音質には難がありました。
今回CD化したアニサ・ンガパイ・プロダクションというレーベルは、
ブラザヴィル出身のヴェテラン歌手で、
一昨年に亡くなったジャック・ルベロのCDも出しているので、
レーベルを主宰するアニサ・ンガパイという人、おそらくコンゴ(ブラザヴィル)人なんじゃないかな。
ネグロ・バンドは、クラリネット兼サックス奏者の
マックス・マセンゴが中心となって結成されたバンドで、
のちにオルケストル・バントゥーの母体となったロッカ・マンボとともに、
新興のレコード会社エセンゴの専属バンドとして活動し、
60年代前半に数多くのシングル盤を残しました。
68年にはパリのパテ・マルコーニでマラソン・セッションを行い、
69年に初のアルバム“A TOUT CASSER” をリリースしています。
今回CD化されたのは、この69年作に8曲を追加したもの。
このマラソン・セッションは、77年に2枚組LP(2C150-15971/2)として17曲がLP化されていて、
本CDでは2曲が入れ替わっています。
ラテン色の濃いサウンドを堪能できる、ネグロ・バンド黄金期を代表する最高の演奏集です。
日本未入荷なのが残念なんですけれど、グラン・カレあたりが好きな人なら、ゼッタイですよ。
関係各位の皆さま、ぜひ入れてください。
Negro Band "LES MERVEILLES DU PASSE 1959-1970" Anytha Ngapy Production NGAPY13005
Max Massengo & Le Negro-Band "1958-2013 RE-EDITION DES MERVEILLES DU PASSE" Femoca 1301