ポップ・ジャズ・クロンチョン スンダリ・スコチョ
クロンチョン歌手スンダリ・スコチョのひさしぶりの新作は、 いつものグマ・ナダ・プルティウィではなく、プラチナムからのリリース。 先日のメメスの新作同様、ふかふかクッション入り、 二つ折りのトール・パッケージで、DVDも入っています。 DVDはCD本篇とは別物で、グマ・ナダ・プルティウィ旧作の 伝統クロンチョン・ヴィデオ8曲が収録。オマケでしょうかね。...
View Articleブラジル前世紀の舞踏場を想う ヤマンドゥ・コスタ&グート・ヴィルチ
時代は20世紀初めの頃でしょうか。 ブラジルの街角のダンスホールを描いたジャケットに一目惚れ。 ヤマンドゥ・コスタの新作と知って、即レジに持っていきました。 ヤマンドゥ・コスタの地元、ブラジル南部のパッソ・フンドで、 少年時代からの音楽仲間だったというベーシスト、グート・ヴィルチとのデュオ作です。 二人の自作曲のほか、ジャコー・ド・バンドリン、ルピシニオ・ロドリゲス、ヴィラ・ロボスといった...
View Articleキゾンバの名作 フィリップ・ムケンガ
キゾンバの面白いアルバムを紹介してほしいというリクエストに、 まっさきに思い浮かんだのが、フィリップ・ムケンガでした。 これも『ポップ・アフリカ800』に入れてあげられなかった痛恨作なんですけれど、 親しみやすいポップスに仕上がった、素晴らしいアルバムなんですよ。 アフリカンドやカセ・マディを手掛けたことで知られる名アレンジャー、 ボンカナ・マイガが音楽監督を務めた、94年のアルバムです。...
View Articleミクスチャー・ポップとして進化したキゾンバ カリナ・サントス
前回、20年以上も前のキゾンバの名作を取り上げましたけれど、 今聴いても古さを感じさせないのは、 パリでしっかりとプロデュースされた作品だったからで、 当時のアンゴラ国内でこれほどのプロダクションは、望むべくもありませんでした。 90年代にポルトガル盤でリリースされていたキゾンバのローカル・ポップは、 シンセをプリセットで鳴らす安直な使用や、稚拙な打ち込み使いなど、クオリティが低く、...
View Articleヴェテラン・センバ・シンガーの初ソロ作 アルトゥール・アドリアーノ
ほとんどというより、皆無といっていいほど国外に流通していないアンゴラ盤CDですが、 ポルトガル経由でごくわずかばかり、手に入れるルートがあります。 個人商店でやっている、おそらくアンゴラ移民のお店だと思うんですけれど、 ぼくはそこにリクエストして、アンゴラへバック・オーダーしてもらっています。 おかげで、すごく時間がかかるうえ、さんざん待たされたあげく、...
View Articleヘイシャン・ストリート・ストリング・バンド ブールピック
派手なペイントを施したルンバ・ボックスを、真正面からどーんと写したジャケット。 バハマやジャマイカの観光地によくいる、流しのメント・バンドかと思ったら、 ハイチのトゥバドゥだそう。そういや、ちゃんと、そう書かれてますね。 ハイチではこの楽器、<ルンバ・ボックス>ではなく、 <マニバ>というんだそう。キューバの<マリンブラ>のクレオール訛りですかねえ。...
View Articleお悔やみ ドゥドゥ・ンジャイ・ローズ
アフリカ音楽の巨星がまた堕ちました。 セネガルの生んだ偉大なパーカッション・オーケストラ・リーダー、 ドゥドゥ・ンジャイ・ローズが、8月19日に85歳でお亡くなりになったそうです。 「アフリカ音楽・イコール・太鼓」のイメージは、良くも悪しくも一般的なものですが、 ドゥドゥ・ンジャイ・ローズのナマ演奏を聴いたことがある人なら、 その神がかり的なパーカッション・アンサンブルは、...
View Articleお悔やみ マリエム・ハッサン
この夏は訃報があまりに多すぎます。 西サハラの女性歌手マリエム・ハッサンが8月22日、 アルジェリア、ティンドゥフの難民キャンプでこの世を去りました。 天命なら、それも仕方がないのかもしれません。 でも祖国を取り戻す闘いの途上で、ガンという病魔に侵され、 命尽きたマリエム・ハッサンの死を、ぼくは天命などと思いたくはありません。 悔しいです。ただ悔しいです。...
View Articleオラン流ライを歌うモロッコ人シンガー シェブ・アマール
マジッド・ハッジ・ブラヒムのヘヴィ・ロテ、止まりません。 http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2015-07-17 オラン・スタイルのポップ・ライが、キラッキラしていた80年代末サウンドを、 これでもかというほど詰め込んだこのアルバム、 聴けば聴くほどにトリコになってしまうのでした。 すっかり<バック・トゥ・ポップ・ライ>になってしまった今日この頃、...
View Articleサーフ・ロック・ギターとプンタ・ロック アウレリオ・マルティネス
スキヤキで来日したホンジュラスのアウレリオ・マルティネス、 予想外といっちゃあ申し訳ないけれど、すごく良かったです。 温かみのあるヴォーカルはCD以上にいい声だったし、 ナイジェリア、ヨルバ直系のダンスを披露したのにも、意表を突かれました。 おぉ、ガリフーナのルーツは、ヨルバだったのかあと、目ウロコでしたよ。 これまでガリフーナ音楽というと、亡きアンディ・パラシオの印象があまりに強く、...
View Article21世紀初のフュージョン傑作 ショウン・マーティン
これはよくできたフュージョン・アルバムですねえ。 フュージョンを聴いてカンゲキしたのって、すごいひさしぶり。21世紀に入って初、かも。 スナーキー・パピーのキーボーディスト、ショウン・マーティンのデビュー作です。 試聴機でチラ聞きした印象がすこぶる良く、家でじっくり聴き直してみたら、 たいへんな力作で、ウナってしまいました。 曲・アレンジとも、じっくり練りこんであって、...
View Articleニュー・オーリンズのハネるリズム リー・ドーシー
“Yes We Can” と聞いて、オバーマ大統領ではなく、 リー・ドーシーを思い浮かべる皆さん、朗報です。 リー・ドーシーの70年の最高傑作“YES WE CAN” がようやくまともにCD化されました。 いまや名盤中の名盤で知られる“YES WE CAN” はぼくにとって、 ニュー・オーリンズR&Bに初めてイカれた、忘れがたきアルバムであります。...
View Article秋の夜長のフィーリン アイデー・ミラネース
厳しい夏が過ぎ、秋めいてくると聴きたくなるフィーリンですが、 今年は新たなアイテムが加わりました。 それが、アイデー・ミラネースの5作目にあたる新作。 ヌエバ・トローバの大物、パブロ・ミラネースの娘さんですね。 魅力のないお父上とは違って、アイデーはジャズやMPBの影響を受け、 現代っ子らしいセンスを持った歌い手さんとウワサに聞きます。 まだこの人のアルバムは持っていなかったんですが、...
View Articleミャンマーの木琴パッタラー チョー・ミョ・ナイン
木琴のころころとした音色が好きです。 アフリカのバラフォンやインドネシアのジェゴグのような、 倍音たっぷり、強烈なノイズを巻き起こすド迫力の木琴も大好きですけれど、 マリンバをもっと素朴にしたような木琴の響きは、 どこかトイ・ピアノに通じる愛らしさがあります。 そんな木琴ファンの心をくすぐるアルバムと出会いました。 それがこのミャンマーの木琴、パッタラーの演奏集。...
View Articleマーマーエー物語【前編】
ミャンマーのレーベル、イースタン・カントリー・プロダクションのカタログは、 器楽演奏ばかりかと思っていたら、ミャンマー伝統歌謡の大御所 マーマーエーのアルバムがあったのは意外でした。 今日びミャンマー国内でこれほどしっかりと制作された古典歌謡は、 めったにリリースされないので、貴重な1枚です。 最近またエル・スールに入荷したようなので、 ミャンマーの伝統歌謡好きの人にはオススメします。...
View Articleマーマーエー物語【後編】
マーマーエーがアメリカに亡命していた2003年、 在日ミャンマー人社会の招きにより、初来日が実現しました。 当時、ミャンマー人の雑貨店によく通っていたぼくは、 マーマーエーの古いカセットのジャケットと同じ絵をあしらったチラシが、 店内に貼ってあるのに、おや?と気付きました。 イラストのほかは、びっしりとビルマ文字が書かれているだけで、 なんのチラシだかわからず、店の親父さんに訊ねてみると、...
View Articleブラジルのダンス音楽絵巻 アミルトン・ジ・オランダ
これまでになくポップに仕上がった、アミルトン・ジ・オランダの新作。 う~ん、こういうのを待ってたんですよぉ。 ここのところアミルトンは、精力的にレコーディングをしていて、 次々と作品を制作していますよねえ。 その仕上がりは、芸術志向に振れることもあれば、 今回のようにエンタテインメントに振れることもありと、 かなり振幅のあるアルバムづくりをしています。...
View Article秋刀魚とムラーユ ジャミラー・アブ・バカル
マレイシアの伝統家屋の室内で、伝統衣装を身にまとった女性がたたずむジャケット。 昔のマレイのカンポン(村)の暮らしのイメージを、 グラフィック化したジャケットは、中身が伝統歌謡であることを伝えてくれます。 ムラーユ歌謡を久しく聴いていなかっただけに、即飛びついちゃいましたよ。 誰のアルバムかと思えば、3年前、みずみずしい伝統クロンチョンを聞かせてくれた...
View Articleアダルト・シャバービー アマール・マヘル
おぅ! 待ってました。エジプトの女性歌手アマール・マヘルの新作ですよ。 エジプトのシャバービーでは、イチ押しのシンガーであります。 かつてはアンガームびいきのワタクシでしたが、 10年のエレクトロ・シャバービー・アルバム“MAHADESH YEHASEBNI” に幻滅して、 今はアマール・マヘルに乗り換えさせていただいております、ハイ。...
View Articleブラザヴィル伝説の名バンド ネグロ・バンド
アフリカのヴィンテージ録音でリリースされるのは、欧米の研究者による編集盤ばかりで、 当のアフリカからは、まったく登場しなくなってしまいましたね。 ジュジュ、ハイライフ、アパラなどの古いレコードを せっせとCD化しているナイジェリアが例外中の例外といえますけれど、 ほかの国では、若者が古臭い音楽を必要としていないし、 オールディーズを懐かしむ中高年層も存在しないってことなのかなあ。...
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