ナイジェリアのヨルバ・ミュージックで、女性だけが歌うワカの人気シンガー、
サラワ・アベニの名盤がついにCDされました。
サラワ・アベニがフジのトップ・シンガー、コリントン・アインラとのロマンスで
世間をにぎわせていた頃のアルバムで、長年所属していたレコード会社のリーダーから、
コリントン・アインラの自己レーベル、コリントンに移籍して間もない84年の作です。
これ、ナイジェリア現地でも大ヒットしたんですよね。
本作の何がスゴイって、バックのパーカッション陣の演奏。
コリントン・アインラの黄金時代を支えた最高のパーカッション・アンサンブル、
アフリカン・フジ・78・オーガニゼーションがバックを務めているんだから、
スゴイのも当然なんですけど、親分の時より気合が入っているんじゃないかという、
圧巻の演奏ぶりを聞かせてくれるんです。
リード・トーキング・ドラムの唸る低音が、サラワ・アベニとコーラスの女声に挑むように絡み、
アゴゴやシェケレが、ビートをひたすら疾走させ、猛烈なグルーヴを生み出します。
合間合間に、金属製の響きを加えるパーカッションが音を重ね、
大小さまざまなパーカッションが展開して息つかせぬサウンドは、
まさしく一級品のフジと変わらぬものです。
コリントン・アインラの名作“AUSTERITY MEASURE” を思わすハードエッジな演奏に、
全身の血流が沸き立ちます。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2011-05-13
そして、サラワ・アベニのパワフルなこぶしに、
若々しい女性たちのコーラスが掛け合う輝かしさは、これぞワカの醍醐味でしょう。
サラワ・アベニは、76年にわずか15歳でデビュー作をリリースして世に登場し、
16歳で自己のバンド、ワカ・モダナイザーズを結成。
以来ずっとその名義を使っていますが、同一のメンバーじゃないことは確かですね。
76年のデビュー作から84年まで、リーダーに14枚のアルバムを残しましたけれど、
コリントン移籍後、バックのサウンドが、がらっと変わりましたからね。
ジャケットには、相変わらず「サラワ・アベニ&ハー・ワカ・モダナイザーズ」とありますが、
演奏しているのがアフリカン・フジ・78・オーガニゼーションであることは、一聴瞭然です。
そういえば思い出しましたけど、
サラワ・アベニと人気を二分したクブラ・アララボというシンガーがいて、
クブラのバックはワシウ・アインデ・バリスターのバンドが演奏していたんですよね。
どこにもそんなクレジットはありませんが、聴けばイッパツでわかります。間違いありません。
85年のクブラ・アララボの2作は、
当時上り調子だったワシウの名作と変わらぬサウンドに魅了されたものです。
これもCD化してくれないかなあ。
コリントン・アインラと結婚したサラワ・アベニは、3人の息子(のちに1人は死別)と娘1人をもうけ、
94年までコリントン・レコーズで録音を続けますが、
二人は結婚を解消し、サラワはアラバダへ移籍します。
アラバダ時代にも、94年の“WAKA CARNIVAL” などの快作があり、
CD化もされていますが、なんといっても80年代の諸作をまず聴かなければ、話になりません。
なかでも“INDIAN WAKA” の激しさはサイコーです。
フジの諸作を聴く人でも、ワカの名盤にお気づきでない方もいるようなので、これを機にぜひ。
Alhaja Queen Salawa Abeni and Her Waka Moderniser "INDIAN WAKA" Olumo ORPSCD10 (1984)
[LP] Kubura Alaragbo "ADIJA TI DE" Leader LRCLS50 (1985)
[LP] Alhaja Adijat Kuburat Alaragbo & Her Waka Group "REPERCUSSION" Leader LRCLS53 (1985)