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伝統フナナーの名作 ビトーリ

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アナログ・アフリカの新作は、なんとカーボ・ヴェルデのアコーディオン弾き
ビトーリのアルバムと聞いて、ちょいオドロキ。
アナログ・アフリカは、お蔵入りのマスター・テープに光を当てて、
世に出すことをモットーにしていたレーベルだったのに、
既発アルバムの再発とは、宗旨替えをしたんでしょうか。

それはともかく。
貴重な伝統フナナーが聞けるビトーリを再発してくれたとは、いやぁ嬉しい。
そんなことを言う奴は、世界でアンタだけ、そもそもなんでこのCDの存在を知っているのと、
レーベル・オーナーのサミー・ベン・レジェブに驚かれちゃいましたけどね。
このCDを知っているヤツなんていないと思ってたなんて、サミー、甘~い。

実はですねえ。10年くらい前だったか、
カーボ・ヴェルデ音楽を扱っているサイトで、ビトーリのCDを見つけてオーダーしたんですけれど、
すでに売り切れ、廃盤で手に入らなかったんですよ。
これ以外にもう1枚ビトーリのCDがあるんですけれど、そちらも同じく売り切れ。
その後も、カーボ・ヴェルデ音楽サイトを見つけるたびに問い合わせていたんですが、
とうとう手に入らなかったんでした。

なので、今回サミーがそのCDを再発してくれたのは、大歓迎なのであります。
オリジナル盤は、ビトーリ・ニャ・ビビーニャ&シャンド・グラシオーザ名義で、
オランダのCDSミュージック・センターから98年にリリースされたもので、CD番号はCDS09。
ただ、オリジナルのCDに入っていた“Papa Nuni” “Sodadi” の2曲が
未収録になってしまったのは、ちょい残念でありました。

ここらへんのことは、ライス盤の解説には触れられていませんが、
シャンド・グラシオーザは、フェロー・ガイタというグループで活躍する
歌手兼フェロー(スクレイパー)奏者で、ビトーリのレコーディングに尽力した立役者です。
そのへんの事情はライス盤解説にゆずるとして、
ライス盤の解説で1箇所訂正の必要があるのは、ビトーリの本名。
「ヴィトール・タヴァレス」とあるのは、「ヴィクトール・タヴァレス」の誤りです。

反対にライス盤の解説を読んで、ぼくも誤りを気付かされたのが、
ビトーリと同様、90年代末のフナナー再評価で見直されたヴェテランのフナナーのミュージシャン、
コデー・ジ・ドナの生年。これはライス盤解説に書かれているとおり、1940年が正しく、
『ポップ・アフリカ800』に「28年生まれ」と書いたのは誤りで、ここに訂正させていただきます。

あ~、やっぱり40年が正しかったのか。
実は、『ポップ・アフリカ700』では「40年生まれ」と書いていたんですよ。
その後、どうも表紙写真から察するに、もっと年寄りに見えたので、
別の資料で28年生まれとあるのを見つけて、こちらが本当だろうと、
『800』出版の際に修正しちゃったんですよねえ。失敗しちゃったなあ。
もっと複数の資料に当たるべきでした。反省。

ともあれ、90年代末に盛り上がった伝統フナナーの再評価で、残された貴重な録音。
シンセ代用のへなちょこポップ・フナナーでは味わえない、
アコーディオンが醸し出すグルーヴを堪能できますよ。
『ポップ・アフリカ700/800』に掲載したコデー・ジ・ドナのCDは、現在入手困難なので、
ぜひこちらのビトーリで、伝統フナナーを聴いてみてください。
メレンゲが好きなラテン・ファンや、ザディコ・ファンもぜひ。

Bitori "LEGEND OF FUNANÁ" Analog Africa AACD081 (1998)

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