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コンテンポラリー・マンデ・ポップ アイサタ・クヤテ

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Aïssata Kouyaté.jpg

クヤテというその姓から、グリオ出身であることはすぐわかるものの、
アイサタ・クヤテという女性歌手の名は、これまで聞いたことがありませんでした。
すでに何回か来日しているらしく、今年も夏にやってきたといいます。
招聘したのが、アフリカン・ダンスのスタジオで、
コンサートではなく、ダンスやジェンベのワークショップとして開催されたらしく、
歌より、ダンスの方がメインだったのかもしれません。

どうも日本では、アフリカ音楽を聴くだけのファンと、
ダンスや楽器を演奏するファンの間に断絶があり、お互いの交流がないのは寂しいですね。
ぼくも先月まで、この人のことをまったく知らなかったくらいなので、
<実践>ファンのイヴェントが、<聴くだけ>ファンの目に届かないことの典型例といえます。
その逆もまたありなんでしょうけれど、そもそもアフリカ音楽というニッチな世界で、
ファンが分裂していて情報の行き来がないというのは、お互いにソンな話だよなあ。

来日時に本人が持ってきたとおぼしき自主制作CDも、
CDショップでは売っておらず、ワークショップ関連のアフリカ楽器店が販売しているだけ。
これじゃあ、フツーのアフリカン・ポップス・ファンはアクセスできません。

もったいないよなあ、と思わずため息をもらしてしまったのは、
自主制作の本作が、すこぶるよく出来たマンデ・ポップだったからなんですね。
レコーディングはパリ。
クレジットの名前を見る限り、参加ミュージシャンのほとんどはアフリカ人ではないようで、
同郷人らしき名前は、コラやンゴニ、パーカッションなど数人のみしかいません。

そのためか、実にこなれたコンテンポラリー・サウンドを聞かせていて、
マンデ・ポップの中に、ロック、ファンク、レゲエを溶かし込んだ手腕が鮮やかです。
流麗なヴァイオリン・ソロや、フランスで活躍するマダガスカル人アコーディオン奏者
レジス・ジザブをフィーチャーした曲もいいアクセントとなっているし、
そんな合間に、コラとギター伴奏のみの伝統的な曲を置いているのも効果的です。

メジャー作と遜色のないプロダクションで、
海外のリスナーにアピールするツボを押さえたサウンドづくりが、
アイサタ自身によるプロデュースというのにも、感心させられました。才女ですねえ。
ママディ・ケイタやモリ・カンテのグループで、キャリアを積んできた成果でしょうか。

グリオとして鍛えられた歌声にも、作曲にも、サウンドづくりにも、
三拍子そろってマンデの伝統がしっかりと刻み込まれた快作です。

Aïssata Kouyaté "MANDÉ" no label no number (2014)

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