ジャケットのヴィジュアルに、到底自分のシュミじゃないと思っていたら、
偶然耳にした“Midnight Mischief” がドツボで、ハマってしまいました。
オーストラリア出身の新鋭シンガー・ソングライター、ジョーダン・ラカイのデビュー作です。
ネオ・ソウルって、サウンドは好みなんだけど、主役の声がダメっていうケースが多くて、
なかなか好みのアルバムと巡り合うことができないジャンル。
特にワタクシの場合、白人の声と相性が悪いものだから、話題となったジェイムズ・ブレイクも、
生理的に受け付けられなくて、まったく困ったもんなんですが、珍しくこの人はタイプでした。
軽やかでつぶやくような歌声は、甘口ながらべたつかず、
舌の上ですっと溶ける和三盆のような味わいがあります。
ジャズやヒップホップを通過した、音響系ネオ・ソウルとでも呼ぶべきプロダクションも極上で、
浮遊するサウンドスケープから立ち上がる音像が、クールです。
こういう独特のムードって、イーフレイム・ルイス以来かも。
エレクトロ・アンビエントといったサウンドの手触りながら、
クラブ・ミュージック臭のないオーガニックさは、人力の生演奏ゆえでしょう。
とりわけ、いまどきのジャズらしいソリッドなドラミングが、サウンドの要となっています。
複数のドラマーが起用されていますが、
いずれもポリリズムを多用して歌伴する新世代共通のプレイ・スタイルを持つ人たちで、
とりわけフライング・ロータスとの共演で有名なリチャード・スペイヴンが聴きものです。
人力ドラムンベースというべきスペイヴンのドラミングは、スペースを埋め尽くすのではなく、
余白を作るのがうまく、なまなましいビート感にぞくぞくしますね。
Jordan Rakei "CLOAK" Soul Has No Tempo SHNT002CD (2016)