ひさしぶりにヴェトナムの伝統色溢れる、民歌(ザンカー)集と出会えました。
ちょうど一年前にも、南ヴェトナム懐メロ集で楽しませてくれたハー・ヴァンのアルバムです。
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とてつもなく歌のうまい人なんですが、実にさりげなく歌う人で、
けっしてその技巧をあからさまにオモテに出さないところは、
タン・ニャンとは真逆の個性といえますね。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2016-08-28
まずタイトル曲となっているアルバム冒頭の1曲目で、早くもやられちゃいました。
ギターとヴァイオリンだけの伴奏で歌うとは、ザンカーでは珍しい趣向です。
しっとりと歌うハー・ヴァンの慕情のこもった歌声に、胸が熱くなりましたよ。
身体の芯まで温めてくれるこの歌声は、寒い冬の季節にまたとありませんねえ。
2曲目以降は、コンテンポラリー・サウンドにダン・チャン(筝)や
ダン・バウ(一弦琴)の響きを添えたお馴染みのザンカーのプロダクションで、
ハー・ヴァンの美しいヴィブラートと鮮やかなこぶし使いを引き立てています。
また、レパートリーもいいんだな。
ハ・ヴィの11年の大傑作“MẸ LÀ TÌNH YÊU” で歌われていた“Đôi Ngả Chia Ly” に、
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レー・クエンが“KHÚC TÌNH XƯA 2 : TRẢ LẠI THỠI CIAN” で歌った“Ai Khổ Vì Ai” も
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カヴァーしていますよ。
このCDはアメリカのV・ミュージックから出たもので、
以前紹介したルー・アイン・ロアンと同じレーベルですね。
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ヴェトナムではリリースされている形跡がなく、
越境コミュニティ向けに制作されたものなんでしょうか。
ソフトケースという安っぽいパッケージは、まるでカンボジア製かミャンマー製みたいで、
海賊盤なのかと疑ってしまいます。
実は中身の方でも気になる点があって、曲間にかすかなプチ・ノイズが入るところや、
8曲目と13曲目でフェイド・アウトを待たずにブツッと終わるところは明らかな編集ミスで、
あちこちのアルバムから取ってきた海賊盤くさいんですが、
ハー・ヴァンの歌やバックのプロダクションには統一感があり、編集盤のようには聞こえません。
どうも出所不明の怪しさが釈然としないCDなんですが、内容はとびっきり。保証します。
Hà Vân "MẸ LÀ CÁNH CÒ YÊU THƯƠNG" V Music no number