タニヤ・サン=ヴァルの新作、すんごくイイじゃないですか。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2017-01-13
年明けから絶賛愛聴中で、毎朝の通勤が楽しいったらありゃしない。
タニヤの艶っぽい歌声もサイコーなら、楽曲も粒揃いで、捨て曲なし。
ファンの欲目とお思いの方もいるでしょうが、
こりゃあ、タニヤの代表作“MI” 以来の傑作といって間違いありません。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2010-07-19
2枚組全部を聴き終えても、まだタニヤの声が名残惜しく、
別のディスクに移るのが心残りでしょうがなかったんですが、
続けて聴くのに、最高といえる1枚を手に入れましたよ。
それがマルチニークのピアニスト、ロナルド・チュールの05年デビュー作。
10年以上も前のアルバムで、在庫処分のアウトレット品で買ったんですが、
これが極上のアルバムだったんですね。
そのオープニングの曲を歌っているのが、タニヤ・サン=ヴァルなんですよ~。
クレオールの粋をギュッと濃縮した、メランコリックなメロディが実に甘美で、
それを歌うタニヤのせつなげな吐息混じりの歌いぶりに、心を鷲づかみにされます。
AメロからBメロに転調する場面では、脳内のドーパミンが爆発しました。
このズークからビギンへと移る2枚の連続が、すごくいい繋がりなんですよね。
ロナルド・チュールといえば、ビギン・ジャズの大傑作“RAISING” が忘れられない人。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2015-10-07
10か月近く通勤途上でヘビロテだった“RAISING” は、
ミジコペイのライヴDVDとともに、15年のマイ・ベスト・アルバムにも選びました。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2015-12-30
“RAISING” の何が痛快だったって、マリオ・カノンジュと肩を並べる
ピアニストとしての腕前だけでなく、コンポーザー、アレンジャーの才能だったんですよね。
特にソング・ライティングの能力は傑出していて、
こんなに<あでやかな>メロディを書ける人は、世界を見渡したって、そうそういませんよ。
デビュー作の本作は、大勢のヴォーカリストをフィーチャリングした
歌ものアルバムになっているんですが、
ここでもロナルドの書くメロディがすごくいいんですね。
冒頭のタニヤ・サン=ヴァルの曲しかり、ラルフ・タマールが歌う2曲、
カッサヴのヴォーカリスト、ジャン=フィリップ・マテリーが歌った曲も、絶品です。
インストも聴きもので、
ミジコペイをホーフツとさせるダイナミックな展開のアレンジを施した、
ラテン・ジャズの“Rouen 86” は、アルバム最大のヤマ場となっています。
ホーン・セクションとヴィブラフォンを配し、
たった4管とは思えぬビッグ・バンドばりのサウンドに、胸躍るんですが、
そのスリリングなアレンジの妙を楽しめるのも、
ロナルドの曲の良さがあってこそなんですよね。
Ronald Tulle "F.W.I." Créon Music 8641322 (2004)