すっかり興味の失せたナイジェリアのフジ。
フジを生み出したシキル・アインデ・バリスターが10年に亡くなり、
ひとつの時代が終わったのを実感してからというものの、
自分の中でじょじょに関心が薄れていったのは確かです。
その大きな原因のひとつに、打楽器と肉声だけのフジを聞くことができなくなり、
シンセ、ギター、サックスなどの西洋楽器を取り入れたジュジュ寄りのサウンドが、
デフォルトとなってしまったことがあります。
黄金期のハードエッジな正調フジを知る者には、
中途ハンパに西洋楽器を取り入れたジュジュ・フジ・サウンドは、
いくら聞いても馴染むことができません。
かれこれ10年以上も、サウンドが気に食わないと、ブツクサと不満をいい続けながら、
新作を追いかけるのにも、いい加減疲れてしまいました。
中堅どころのワシウ・アラビ・パスマ、アバス・アカンデ・オベセレ、レミ・アルコ、
さらにもっと若いスレイモン・アディオ ・アタウェウェ、セフィウ・アラオ・アデクンレ、
アカンデ・アデビシ・カレンシーなどなど、歌えるシンガーは山ほどいるものの、
ヴォーカルと丁々発止をするでもない、キリッとしたソロをとるでもない、
メリハリのない垂れ流しの伴奏を付けるだけの、
シンセ、ギター、サックスには、もうウンザリです。
最近では、無理して新作フジを買うくらいなら、
昔のフジを聴くわという気分にどんどんなっていたので、
ひさしぶりに見かけたコリントン・アインラの新作を目にしても、
まったく手の伸びない自分に、自分で驚いてしまいました。
ひと昔前なら目の色変えて、飛びついただろうに。
コリントン・アインラの新作を買ったのは、かれこれ10年くらい前でしょうか。
最後に買ったのが“BACK TO SENDER” で、
遠藤さんのディスコグラフィでは07年頃の作品と書かれています。
その後、コリントンの新作CDが入手しずらくなり、
VCDで“POPSON” “A DUPE LOWO OBEY”
“THANK YOU & SWEET MOTHER” の3作をフォローしてきましたが、
かつての輝きは感じられず、CDを探そうという意欲はわきませんでした。
現地の報道によると、コリントンは精神的な問題を抱えていたようで、
じっさい活動は低迷していたようですね。
VCDなどで観たコリントンが、あてぶりにせよ、軽く歌っているという感じで、
生気がないように思えたのは、そのせいだったのでしょうか。
今年の3月に出たばかりの新作、
タイトルに使われた‘Esin funfun Ayinla tigbera bayi o’ は、
「先へ進もう。だれも私を止めることはできない」という意味で、
トラブルからすっかり吹っ切れたことを宣言しているようです。
ジャケット裏にはA面・B面とクレジットされていて、
A面はいつものジュジュ・フジのサウンドながら、
コリントンの歌声に張りが蘇っていて、流し歌いのようなところはみられません。
まったく期待もしていなかったせいか、思わず、おぅ!と声を上げてしまいましたよ。
そして、さらにオドロキはB面。
なんと最初から最後まで、シンセもサックスもギターもまったく登場しない、
打楽器と肉声だけによる正調フジ。
トラップドラムとパーカッションが鼓舞する、
コリントンのトレードマークだったバタ・フジが蘇っているんですよ。
これには、カンゲキしました。
祝詞のようなコブシ使いでじっくりと始めるイントロもかつてのようなら、
要所要所でメリスマを爆発させる歌いぶりは、これぞフジといえるものです。
80年代黄金期のような咆哮は求められないとはいえ、
これは完全復調といっていいでしょう。
Gen. Kollington Ayinla "EHUN FUNFUN" Corporate Pictures no number (2017)
Alhaji Gen. Kollington Ayinla "BACK TO SENDER" Corporate Pictures no number (2007)
[VCD] General Kollington Ayinla "POPSON" Jossy Halleluya Music no number
[VCD] General Kollington Ayinla "A DUPE LOWO OBEY" Jossy Halleluya Music no number
[VCD] Alhaji General Kollington Ayinla "THANK YOU & SWEET MOTHER" Jolaosho no number