ここのところネオ・ソウルぽいサウンドを耳にすることが多くて、妙な気分。
だって、ネオ・ソウル華やかりし頃には、あんまり興味を持てなかったもんだから。
サウンドには惹かれても、歌いぶりとか、声そのものがどうも苦手な歌手が多くて、
世間では大絶賛のシンガーにまったく反応できず、ほとんど素通りしてきただけに、
なんで今頃と、我ながら思ってマス。
で、また出会ってしまった1枚。
ニュー・ヨークで活動するシンガー、ミズ・アイリーン・リネーの2作目。
じっくりと歌うバラードでの、零れ落ちんばかりの情の深さにノックアウトされたのでした。
内に秘めた炎が、メラメラと燃えているのを感じさせるレディ・ソウル。
けっしてシャウトしないからこその狂おしさというか、
一語一語に託した思いが、ぐいぐいこちらに迫ってきて、ムネアツになりますよ。
こういうじわじわと迫るように歌う歌手は、
それこそレディ・ソウル盛んな70年代には珍しくありませんでしたけれど、
いまでは貴重な存在じゃないですかねえ。
『どこにでもあるソウル』なんて奥ゆかしいタイトルは、自信の裏返しなのか、
イマドキ、そんじょそこらにはないですよ。
すっかりこの新作にマイってしまい、
UK・ソウル・チャートでトップ10にランク・インしたという
デビュー作“SERENDIPITOUS EXPERIENCE” も聴いてみましたが、
アイリーンの歌いぶりは新作同様。本物の実力派シンガーですね。
ただし、プロダクションの完成度は、新作には及ばず。
それほどこの2作目は、歌・プロダクションともにパーフェクトです。
Ms Irene Renee "UBIQUITOUS SOUL" D.A.P. no number (2017)
Ms Irene Renee "SERENDIPITOUS EXPERIENCE" no label no number (2013)