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アフリカン・ラップ最前線 ジョーイ・ル・ソルダ

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Joey Le Soldat  Barka.jpg

ブルキナ・ファソがラップで盛り上がっているらしいというウワサを聞きつけ、
人気沸騰のアート・メロディはじめ、ブルキナベ・ラッパーの一人として、
ジョーイ・ル・ソルダをこの春初めて聴いたわけなんですが、
どうやらこの人の才能は、こちらの想像をはるかに超えていたようです。

ジャズ名盤のデザインを借用したアートワークが秀逸な14年作も、
アフリカン・ラップとして水準以上のアルバムでしたけれど、
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2017-03-08
届いたばかりの新作が、独自の個性をくっきりと示していて、いや~、スゴイ。

まず、バックトラックの説得力が、2倍増ししましたね。
トラックメイカーは14年作同様、レッドラムとDJフォームの二人ですけれど、
前作のプロデュースはDJフォームだったのが、今回はトラックメイクを担当した曲を
それぞれがプロデュース。とりわけ惹かれたのが、レッドラムのトラックメイクです。

バラフォンをフィーチャーした“De la lutte qui libère”、
ガムランのような響きのトラックにラガで迫った“Goomdé”、
アクースティックなマンデ・ポップをサンプルに、
ギネアの女性ラッパー、アニー・カシーと共演した“Tirailleurs”。
ほかにも、ベンベヤ・ジャズ・ナシオナルや
ヴォルタ・ジャズからサンプルを取っているほか、
ラルフ・マクドナルドの名盤“THE PATH” のA面タイトル組曲を大幅に使用して、
シンドラムを使ったイントロから、中盤のコーラスが加わるパートなど、
あの組曲のもっとも印象的な場面をいいとこどりした“Travell” には脱帽。

欧米の流行を周回遅れで取り入れるような時代を脱して、
アフリカの身体感覚を発揮したビートメイクに自覚的となったこと、
そして、過去の豊かな音楽遺産にも目を向けるようになったってことが、
嬉しいじゃないの。
アフリカン・ラップが、ついにヒップホップ・シーンの最前線に躍り出てきたぞっていう、
そういう手ごたえのあるアルバムですよ。

バックトラックのことばかり先にいっちゃいましたけど、
ジョーイのごついフロウが、とにかく個性的なんだわ。
14年作を聴いた時、もっとこのファットな声を生かす
バックトラックが欲しいと思っただけに、今回は大満足です。

ジョーイは、今年の春フランス、スペイン、オランダ、ベルギーをツアーして成功を収め、
現在もヨーロッパを回っていて、
スイスでは南アのスポーク・マサンボと共演を果たしたもよう。
アフリカン・ヒップホップの才能ある者同士、ちゃんとつながってますね。

ちなみに、ジャケット内のジョーイの写真の撮影クレジットには、
フローラン・マッツォレーニの名がありましたよ。活躍してますねえ。

Joey Le Soldat "BARKA" Tentacule no number (2017)

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