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テル・アヴィヴ新時代 バターリング・トリオ

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Buttering Trio  THREESOME.jpg

『ミュージック・マガジン』12月号のイスラエル音楽特集記事に触発されて、
紹介されていたディスクを、ネットでいろいろ試聴していたところ、
ロウ・テープスという新興インディの作品が、やたらと面白い。
ただ残念なのは、カタログは70作品以上あるのに、
フィジカルになっているものが少ないこと。
とりあえずCDで出ている作品を、いくつかオーダーしてみました。

まずは、レーベルを主宰するリジョイサーことユヴァル・ハヴキンを擁する
バターリング・トリオの16年最新作。
すでに今年の春、日本盤でもリリースされた人気盤であります。

「イスラエルのハイエータス・カイヨーテ」という前評判もナットクの音楽性で、
「フューチャー・ソウル」なるヤスっぽいネーミングは、
雲散霧消したかつてのフューチャー・ジャズを思い出させ、気乗りはしませんが、
なるほど、そんな感じのバンドではありますね。

エレピとシンセがレイヤーするサウンドや、
ヴォーカル・ハーモニーが生み出すサウンドの浮遊感は、
ムーンチャイルドも連想させます。
女1・男2というフォーマットも同じなら、女性が歌とサックスを担当しているのも、
ムーンチャイルドとおんなじで、偶然にしても面白いですね。
メルボルンとLAとテル・アヴィヴが共振しているような、そんな時代なんですねえ。

9月に観たムーンチャイルドのライヴでは、ドラムスが起用されていましたけれど、
こちらはプログラミングが基本で、ヴォーカルや鍵盤がハーモニーを作り出し、
ベースがグルーヴを生み出すというより、
歌心豊かなメロディ・ラインを残すところが面白い。
スキマだらけの空間を、サックスが一筆書きのように吹き流すのも印象的です。
サウンドの組み立てがムーンチャイルドほど洗練に向かわず、適度にラフで、
時にサイケな感覚が横断するなど、引き出しはかなり持ってそう。

ネオ・ソウルな感触はあっても、ブラック・ミュージックの要素はなく、
ビート・ミュージックとジャズのセンスが、すごくイマっぽい。
インド音楽やレゲエの取り入れた方も自然で、
音楽の参照の仕方に、力みがないところがいいな。
気付くのが遅すぎて、10月の来日を観れなかったのが、残念であります。

Buttering Trio "THREESOME" Raw Tapes no number (2016)

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