「黒鶏」のニックネームを持つメストリ・ガロ・プレートこと、
トマス・アキノ・レオンが、81歳にして初レコーディングをした作品。
ガロ・プレートというと、ネルソン・サルジェントと縁の深いショーロ・グループが
思い浮かぶところですけれど、この人は、ノルデスチのココの歌い手です。
35年、ペルナンブーコ州アグレスチのキロンボの生まれ。
12歳でレシーフェへ出て、イモの行商をしながら、
ココやエンボラーダを歌っているところを見出され、
ラジオに出演したところから、歌手のキャリアをスタートさせたといいます。
レコーディングの機会には恵まれなかったものの、
十分なキャリアを持つ実力者なので、キレのある歌いっぷり、
リズムへのノリは、81歳という年齢をまったく感じさせません。
歌声こそ老いは隠せないとはいえ、それとて枯れた味わいとなって、
得難いコクがありますよ。
ココ、エンボラーダ、マラカトゥといった北東部音楽を、
パンデイロ、ザブンバ、ガンザなどの打楽器アンサンブルに、
女性コーラスを交え、華やいだ雰囲気が楽しいですねえ。
ド・ド・ド・ド・ドッ♪と合いの手のように入るザブンバのビートが、
腹にずしんと響いて、キモチいいったらないですね。
数曲でアコーディオンも加わりますけれど、
打楽器だけの伴奏でも、ぜんぜん退屈しませんね。
ココやエンボラーダは、詩の即興に注目されるあまり、
メロディは単調といったものも多いんですけれど、
メストリの書く曲はとてもメロディアスで、ポップともいえます。
Mestre Galo Preto "HISTÓRIAS QUE ANDEI" no label GLP2016 (2016)