おぅ! ウィリー・ウォーカーの新緑!
奇跡の復帰作と話題になった04年作の“RIGHT WHERE I BELONG” も
素晴らしいアルバムでしたけれど、今作はそれを上回る仕上がりですよ。
今年のベスト・ソウル・アルバム、疑いなしでしょう。ジャケットもいいねぇ。
レトロ・ソウルなんかじゃないんだよね。ウィリーが歌うソウルって。
60年代にゴールドワックスやチェスに録音を残した、
当時そのままのサザン・ソウルを歌い続けているといった感触が、リアルに伝わってくるんですよ。
ソウルが彼の身体の中で、過去のものになっていないんだ。
ソウル・スピリットそのものが、生き続けてるっていうか。
ゴスペルで鍛えられた声がいかに衰えないか、その証明にもなっていますよ。
塩辛いヴォーカルを振り絞るようにシャウトしても、力みはまったくありません。
力まかせどころか、実に丁寧に歌っていて、その深みあるフレージングに胸を突かれます。
ビートルズの「ヘルプ」が、こんなに立派なゴスペルに生まれ変わるんですからねえ。
泣かせますよ、いや、ほんとに。
吹っ切れてるウィリーのヴォーカルにも堪能させられますけれど、
ヴィンテージなサウンドを熟知したメンバーがはじき出すバックのサウンドが、また見事。
サウンドがぜんぜん様式美になってないんですよね。そこがレトロ・ソウルにならないキモ。
メンバーたちのプレイがイキイキとしていて、歌と演奏が有機的に絡み合っています。
黒人シンガーを守り立てる白人バンドという構図も、
アトランティック、スタックスから続くソウルの伝統がちゃんと息づいているじゃないですか。
あぁ、生のウィリー、観たいねぇ。プロモーターさん、日本に呼んで~。
Wee Willie Walker "IF NOTHING EVER CHANGES" Little Village Foundation LVF1004 (2015)
Willie Walker and The Butanes "RIGHT WHERE I BELONG" One On One CDONO761955 (2004)