アズマリ出身の歌手デレブ・デサレン率いる
https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2013-11-02
在オーストラリアのエチオ・ポップ・バンド、デレブ・ジ・アンバサダーが、
昨年に続き3度目の来日を果たします。
ホーンズを従えた生バンドによるエチオ・ポップは、
本場エチオピアでも、おいそれとは聞けるもんじゃありません。
それを日本にいながらにして体験できるんだから、
これを贅沢と言わずして、何と言いましょう。
んもー楽しみで、今からソワソワしっぱなしですよ。
エチオピーク・シリーズを聴き倒しているエチオ・ポップ・ファンなら、
デレブ・ジ・アンバサダーのライヴを見逃すような人はいないと思いますけど、
もし情報をキャッチしそこねている人が周りにいたら、教えてあげてください。
今回のツアーは、今月19日から始まりますよー!
https://ethiopianartclub.org/events/
で、今回はなんと、新作をひっさげての来日なんですね。
思えばデビュー作が出たのは、もう8年も前のこと。
https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2012-02-01
2作目を出すまで、ずいぶん時間がかかったものです。
デビュー作は、バリトン・サックスも加えた5管編成という
ブ厚いホーン・セクションが聴きものとなっていたんですが、
今作のホーンズは3管となり、メンバーもだいぶ入れ替わっています。
バンド・サイズがやや縮小したことによって、
デビュー作の音圧でぐいぐい迫ってくるようなパワーは減じたとはいえ、
エチオピア黄金時代のサウンドの再現にとどまることなく、現代性を加味しながら、
じっくりとサウンドを練り上げたことがわかる力作に仕上がっています。
野性味溢れるデレブのファンキーな歌いっぷりも申し分なく、
なにより嬉しいのは、エチオピア音楽独特のエグ味を失っていないことです。
それは、‘Ethiopia’と題されたタイトル・トラックにも表れていますね。
‘Ene Negn Bay Manesh’ を原題とするこの曲は、
エチオピア黄金時代の影の立役者、ギルマ・ベイェネの名曲で、
昨年ギルマがフランスのエチオ・ポップ・バンド、
アカレ・フーベとともに制作した初ソロ作にも収録されていました。
https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2017-03-12
ギルマ・ヴァージョンでは、エレクトリック・ギターがジャズぽいリックを繰り出し、
ジャジーなサウンドを演出していましたけれど、
デレブはクラールをカクシ味にして、
ノスタルジックなエチオ・ポップの味わいを溢れさせています。
こうした濃厚な味わいは、
コンテンポラリーなエチオ・ポップのサウンドがクリーンになるにつれ、
じょじょに薄れつつあるものなのですけれど、
デレブはエチオ・ポップの美学ともいえるエグ味を、
意識的にキープしてるみたいですね。
アルバムの前半を占めるデレブのオリジナル曲が、
エチオピアの伝統モードのなかでとりわけアクの強い、
アンチホイェやアンバセルを使った曲が多いことからも、それは見て取れます。
オーストラリアに渡ったデレブが多国籍のメンバーとバンドを組み、
外からエチオピア音楽を見つめたことで、
あらためてエチオピア音楽の独自性である<旨み>を自覚したのかもしれません。
黄金時代を思わすむせかえるような臭みに、
エチオピアの人情味が宿った会心のアルバムです。
Dereb The Ambassador "ETHIOPIA" no label no number (2018)