ブラジルのハーモニカ奏者ガブリエル・グロッシとのコンビで、
ぼくにはとてもなじみのあるピアニスト、ギリェルミ・リベイロの新作。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2014-11-05
エレガントで整ったピアノは、実に端正でお行儀がよく、
う~ん、これまたノーヴォス・コンポジトーレス一派というか、
イマドキのジャズかな、なんて思いながら聴き進めていくと、
どうしてどうして、スケールの大きな演奏にぐいぐい惹きつけられてしまいました。
曲作りのうまさは、ガブリエル・グロッシとの近作ですでに証明済。
感心したのは、メランコリックな曲をこじんまりとさせず、
雄大な演奏空間へと一段引き上げていくグループの結束力です。
ギリェルミ・リベイロのピアノに、ギター、ベース、ドラムス、パーカッション、
サックスというセクステート編成なんですが、ブラジル勢と体温の違う、
アメリカ人サックス奏者を一人加えたのが大正解。
ブラジル勢だけでは、整合感ありすぎになっていたであろう演奏を、
アメリカ人サックス奏者の肉感的なプレイが、グループに熱量を加えたことは確かですね。
一方、ギリェルミがメロトロン、ワーリッツァー、ミニモーグといった
60年代のヴィンテージなマシンを加えているところに、
サウンド・メイキングのセンスの良さを感じさせます。
ゆいいつのカヴァー曲、バーデン・パウエルの“Canto De Ossana” の
重厚な解釈も聴きものでしたけれど、ラストの60年代新主流派のセンスで暴走するところは、
おおっと身を乗り出しちゃいました。
繊細さとダイナミズムを合わせ持つ演奏力で、
卓越したアレンジと作曲能力をフルに発揮した快作です。
Guilherme Ribeiro "TEMPO" Sound Finger GR001 (2015)