これは、アナログ・アフリカのひさしぶりの快作ですね。
ここ数年のアナログ・アフリカの復刻のお仕事には、
あまり感心できないものが続いていたんですが、
80年代のソマリアで、民間バンドとして活躍した
ドゥル・ドゥル・バンドの復刻には発見がありました。
ようやくソマリ音楽の往年の音源に、
少しづつ光があたり始めるようになった今日この頃ですけれど、
アナログ・アフリカがドゥル・ドゥル・バンドをリリースするというニュースには、
正直歓迎できないというか、もっとほかにリイシューすべきものが
あるんじゃないのとしか思えなかったのでした。
というのも、ドゥル・ドゥル・バンドは、
オウサム・テープス・フロム・アフリカが87年の『第5集』をCD化していて、
平凡なアフロ・ファンク・バンドといった感想しか持っていなかったからです。
しかし、あらためてこのアナログ・アフリカ盤を聴いてから振り返れば、
オウサム・テープス・フロム・アフリカ盤は音質が悪すぎましたね。
劣化したカセット・テープのノイズのせいで、
このバンドの魅力を伝えきれていなかったことが、いまではよくわかります。
今回アナログ・アフリカがリイシューしたのは、
彼らのデビュー作とセカンド・アルバム。
ギターやベースの音もくっきりと捉えられていて、
当時モガディシュのディスコを沸かせたという、
ドゥル・ドゥル・バンドの演奏力をようやく認識できましたよ。
たしかにサウンドは、北米ファンク・マナーというか、
まんまコピー・バンドであるものの、それぞれ個性的な男女歌手がコブシを利かせて、
ソマリらしい5音音階のメロディを歌い、ディープな味わいを醸し出しています。
ガッツのあるサックスのブロウなども、嬉しいじゃないですか。
セカンド作では、レコードの針飛びを模したミックスという斬新なアイディアも聞かせ、
サウンド・エンジニアリングの才にもウナらされました。
モガディシュを沸かせたソマリ・ディスコ・バンドから、
濃厚なソマリ風味を味わえる、得難いリイシュー作です。
Dur-Dur Band "VOLUME 1 & 2" Analog Africa AACD087 (1986/1987)