オリジナルを超えた『リメイン・イン・ライト』 アンジェリク・キジョ
アンジェリク・キジョが、なんとあの『リメイン・イン・ライト』をカヴァー! よくまあこの企画、考えついたもんだ。仕掛け人、表彰もんだね。 先に白状しておきますけれども、キジョは歌手として好きなタイプじゃないし、 『リメイン・イン・ライト』は、買って早々に手放してしまったレコード。 そんなぼくにとって「マイナスの2乗」企画だからこそ、...
View Article『その男ゾルバ』のラスト・シーン アントニス・マルツァキス
クレタ島の楽器というと、胡弓に似たリラのメージが強いですけれど、 この人が弾くのはヴァイオリンなんですね。 アントニス・マルツァキスは、クレタ島の中堅の伝統音楽家だそうで、 本作が6作目とのこと。 ウードに似た4コース8弦の弦楽器ラウート2台が歯切れのいいリズムを刻み、 カクシ味として鈍い響きのダウラキ(スネア大の太鼓)がリズムを補う合間を、...
View Article40年後のソフト&メロウ ホンネ
通勤ウォーキングのお供に、 ロンドンのエレクトロ・デュオ、ホンネの新作が加わって、はや2か月。 CRCK/LCKS、キーファー、リジョイサーと連続プレイして違和感がないのは、 ジャジーなアーバン・テイストのサウンドに、 共通するセンスがあるからでしょうね。 ホンネの音楽性はエレクトロ・ポップですけど、 ジャズ新世代がデザインするサウンドと、親和性があるのを感じます。...
View Article女たちのソン セプテート・モレーナ・ソン
カネーラ・デ・クーバに続いて、またもキューバのお姉さまグループです。 https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2018-04-02 なんとソンの本場サンティアゴ・デ・クーバのグループだというのだから、ビックリ。 本格的なセプテート編成の女性だけのソン楽団なんて、 30年代のアナカオーナ以来じゃないの?...
View Article没後50年記念作 コンフント・ロベルト・ファス
コンフント・ロベルト・ファスの新作! いったい何年ぶりなんでしょうか。 カムバック作なのか、それとも地道に活動を続けていたのか、 よくわからないんですけれど、 おととし出ていたアルバムが、ようやく日本に入ってきました。 ロベルト・ファスといえば、コンフント・カシーノの専属歌手から独立し、 50~60年代に活躍したキューバの名歌手。...
View Article現代ブラジルのストーリーテラー ルーベル
朴訥とした、シロウトぽい歌い口に惹かれました。 こういうアマチュアぽさを失わないところが、 ブラジル音楽がいつまでもフレッシュでいられる秘訣ですね。 優雅な弦オーケストラがたゆたうと、妙に均質的なビートを刻むギターのバチーダと ドラム・マシーンが加わり、上質のサウンド・スケープが立ち上るサウンドは、 けだしブラジルのフォークトロニカでしょうか。...
View Articleモガディシュを沸かせたソマリ・ディスコ・バンド ドゥル・ドゥル・バンド
これは、アナログ・アフリカのひさしぶりの快作ですね。 ここ数年のアナログ・アフリカの復刻のお仕事には、 あまり感心できないものが続いていたんですが、 80年代のソマリアで、民間バンドとして活躍した ドゥル・ドゥル・バンドの復刻には発見がありました。 ようやくソマリ音楽の往年の音源に、 少しづつ光があたり始めるようになった今日この頃ですけれど、...
View Articleハードコア・フリー・ジャズ・ファンク アンダーグラウンド・ファンク・ユニヴァース
まさしく百戦錬磨の面々。 中央線ジャズの豪傑がずらりと並んだ新バンドのクレジットに、 これは買いでしょうと飛びつこうとした矢先、 一夜だけのアルバム発売記念ライヴを新宿ピットインでやると聞き、 さっそく予約を入れ、CDは会場で買うことにしました。 事前にCDを聞かず、ライヴで初めて聴くなんてことは、 ぼくの場合、けっしてしないんだけど(だからフェスには足が向かない)、...
View Article日本のポップ・ミュージック史を塗り替える演奏力 クラックラックス
クラックラックスの新作が、毎朝のウォーキングのパートナーとなって、はや3か月。 https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2018-08-30 楽しみにしていた9月30日のリリース・ライヴが台風で中止になってしまい、 すっかり気落ちしてたんですが、先日のアンダーグラウンド・ファンク・ユニヴァースで、...
View Article3者3様の個性を発揮したセッション エドゥ・リベイロ、トニーニョ・フェラグッチ、ファビオ・ペロン
この3人の役者が揃ったとあっては、聞かないわけにはいかないでしょう。 メロディを叩くドラマーのエドゥ・リベイロに、 http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2017-11-11 アコーディオンのトップ・プレイヤー、トニーニョ・フェラグッチ、 http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2016-09-09...
View Articleビター・スウィート・レゲエ ベレス・ハモンド
いい声だなあ。 嬉しくなっちゃいますよね、この円熟したノド。 ベレス・ハモンド、63歳ですか。 持ち前のしゃがれ声が、また一段と深みを増しましたね。 歌ものレゲエが、本格的に復活してるんですねえ。 ベレス・ハモンドのアルバムを聴くのは、94年の“In Control” 以来。 もちろん、その間もコンスタントにアルバムを出していたようですけれど、...
View Article20代のイブラヒム・タトルセス
ついに出ました! トルコ歌謡の帝王イブラヒム・タトルセスの初期録音CD。 タトルセスは、オルハン・ゲンジュバイがトルコ歌謡の一大ジャンルに引き上げた アラベスクで大当たりし、労働者階級の圧倒的支持を集めて 国民的歌手となった大スターですけれど、 その出発点は天才民謡歌手だったということが、これを聴くとよくわかります。 発売元のウマール・プラックは、ウィキペディアによると、...
View Articleいさぎよい歌 折坂悠太
不思議な歌を聴きました。 フォークのようでフォークじゃない。これまでにない感触の日本語の歌。 明瞭な日本語の発音、こぶしの入った節回し、朗々と歌いもすれば、 演劇的な台詞回しもする。かつての日本語フォークのようでありながら、 フォークぎらいのぼくをグイグイ惹きつけるのだから、どうやら別物のようです。 歌のナゾはさておき、このアルバムの分かりやすい魅力は、その音楽性の豊かさ。...
View Article黒いフルート オマール・アコスタ
ベネズエラの経済崩壊、いったいどうなってしまうんでしょうか。 年末にはインフレ率が100万パーセントに達する見通しをIMFが出していて、 08年のジンバブウェの悪夢がよみがえります。 すでに300万人がコロンビアや周辺国へ脱出していて、 国家崩壊の様相さえ呈していますね。 これでは音楽どころではない国内事情でしょうが、 ひさしぶりにベネズエラ音楽を聴ける機会がありました。...
View Article門下生が完成させたエルメート・ミュージック ヴィンテナ・ブラジレイラ
エルメート・パスコアール門下生の活躍が、目立ってきましたね。 エルメート・バンドのベーシスト、イチベレ・ズヴァルギの新作が、 今年のブラジルの最高作といえる大傑作で、絶賛愛聴中ですけれど、 http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2018-09-11 ピアニストのアンドレ・マルケス率いるラージ・アンサンブル、 ヴィンテナ・ブラジレイラの新作が、これまた秀逸です。...
View Articleサヘルの生音ビート・ミュージック タラウィット・トンブクトゥ
サヘル・サウンズから、トゥアレグのグリオ3人組の新作が届きました。 新作といっても録音は11年と、なぜか7年も眠っていた音源ですけれど、 トンブクトゥやガオなどで演奏される、 祝祭のダンス音楽タカンバの素の姿が楽しめる、貴重なアルバムです。 タラウィット・トンブクトゥは、アンプリファイされたテハルダントと、 ベース役のもう1台のテハルダントを演奏する兄弟と、カラバシを叩く甥による3人組。...
View Articleカルメン・ミランダでシャバダバ オルジナリウス
リオで08年に結成された男女混成ア・カペラ・コーラス・グループ、 オルジナリウスの3作目を数える新作は、 カルメン・ミランダの代表曲をカヴァーするという、 若者にあるまじき(?)酔狂な企画。 古いブラジル音楽好きには、大歓迎のアルバムであります。 クラウンドファンディングで制作された前作でも、 ピシンギーニャやヴィラ・ロボスのショーロや、 ノエル・ローザのサンバなどの古典曲から、...
View Articleサンバの伝道師 モナルコ
もう40年以上、ブラジルの音楽をせっせと聴いてきましたけれど、 ここ最近聴いているのは、ジャズばっかりなんだから、自分でも驚いちゃいます。 まさかブラジルのジャズがこんなに面白くなるなんて、想像すらしませんでしたけれど、 それに比べて、サンバはパッとしなくなっちゃったなあ。 特にエスコーラ系の伝統サンバは、まったく新作が出なくなっちゃいましたよねえ。...
View Article深化したマルチーニョ流アフロ・サンバ マルチーニョ・ダ・ヴィラ
そして、もう一人の大物サンビスタがマルチーニョ・ダ・ヴィラです。 こちらは正直いうと、モナルコと違って、あまりフォローしていなかったんですよねえ。 70年代はそれこそ思いっきり夢中になった人ですけれど、 80年代以降精彩を欠くようになり、 90年代以降のアルバムはノー・チェック状態でした。申し訳ありませ~ん。 ということで、ぼくにとっては、何十年ぶりのごぶさたのマルチーニョなんですが、...
View Articleラトヴィアの古代と未来 ラタ・ドンガ
ラトヴィアといえば合唱。 歌の宝庫で知られるお国柄ですけれど、 ラトヴィアの夫婦と娘2人のラタ・ドンガも、 3世代にわたって歌い継いできた民謡をレパートリーにしているといいます。 フィンランドのカンテレによく似たラトヴィアの民俗楽器、 クアクレの清涼な弦の響きを生かしつつ、 ピアノ、ベース、エレクトロほか、さまざまな楽器を多彩に取り入れています。...
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