いい声だなあ。
嬉しくなっちゃいますよね、この円熟したノド。
ベレス・ハモンド、63歳ですか。
持ち前のしゃがれ声が、また一段と深みを増しましたね。
歌ものレゲエが、本格的に復活してるんですねえ。
ベレス・ハモンドのアルバムを聴くのは、94年の“In Control” 以来。
もちろん、その間もコンスタントにアルバムを出していたようですけれど、
レゲエとすっかり疎遠になってしまい、チェックを怠っていました。
店頭で訴求力バツグンのジャケットにやられて、すぐさまレジに向かいましたよ。
タイポグラフィに配色、ベレスのポートレイトの色味もサイコーです。
四半世紀ぶりに聴くベレス、嬉しいくらい、変わってません。
ベレス節としかいいようのない節回し、
表情豊かな歌いっぷりは、まさしくジャマイカの至宝です。
ソウル・テイストをたっぷりとたたえた資質は、
ラガ期に活躍したラヴァーズ・ロックの大ヴェテランというイメージに反し、
もっとオールド・スクールなロック・ステディの味わいを引き継いでいますね。
ラヴ・ソングにぴったりな、温かい人柄の伝わる甘い歌い口で、
恋の切なさをこれほど絶妙に表現するレゲエ・シンガーを、ぼくは他に知りません。
ほのぼのとしたムードを醸し出すところも、ベレスの良さですね。
ウィリー・リンドのギター、ディーン・フレイザーのサックス、
ロビー・リンのキーボードと、往年の盟友たちのバッキングを得て、
ベレスのビター・スウィートな甘さが、水を得た魚のごとくはじける快作です。
Beres Hammond "NEVER ENDING" VP VP2584 (2018)