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日本のポップ・ミュージック史を塗り替える演奏力 クラックラックス

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クラックラックス 20181828.jpg

クラックラックスの新作が、毎朝のウォーキングのパートナーとなって、はや3か月。
https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2018-08-30
楽しみにしていた9月30日のリリース・ライヴが台風で中止になってしまい、
すっかり気落ちしてたんですが、先日のアンダーグラウンド・ファンク・ユニヴァースで、
新宿ピットインに出向いたところ、「石若駿3デイズ6公演」のチラシを見て、なぬ?
なんと今度の日曜日の昼公演に、クラックラックスが出演とあるじゃないですか。

あわててレジへ駈け込み予約を入れましたけど、
クラックラックスがまさかピットインでやるとは思わなかったなあ。
しかも昼公演だっていうんだから、これまた意外。
若い人が集まるクラブで、アウェイ感たっぷりに
踊りに行くのを覚悟していたオヤジにとって、想定外の出来事でありました。

ところが、クラックラックスは、
新宿ピットインのイベントの企画として結成されたという話を
ライヴのMCで知り、二重のオドロキ。へぇ~、ここがホーム・グラウンドだったんですか。
確かに全員ジャズに精通したメンバーなんだから、不思議じゃないけど、
ポップ・ミュージックのバンドとしてカンバンをはってるだけに、これは意外でしたねえ。

そして、じっさいライヴに接して、いやもう圧倒されましたよ、その演奏力の高さに。
複雑な構成の変拍子曲で、フロアを熱く盛り上げ踊らせる技量は、
そんじゃそこらのポップ・バンドじゃできない芸当です。
ジャズのスキルばかりでなく、クラシックや作編曲の能力がふんだんに取り入れられ、
日本のポップ・ミュージックのバンドも、ここまで来たかという思いを強くしましたね。

「ここまで来たか」という妙な感慨は、40年前に荻窪のロフトで観た、
シュガー・ベイブの演奏力のなさを、ふと思い出してしまったからなんですけれどね。
シュガー・ベイブに限らず、ぼくが学生時代だった70年代の日本のバンドは、
自分たちがやろうとしている音楽に、演奏力がぜんぜん追いついていない
不甲斐なさが、常につきまとっていたもんでした。
あの当時を思うと、今の若者たちがものすごく頼もしく映るんですよ。

リーダーの小西遼の、キーボードを操りながらヴォコーダーやサックスを吹く姿なんて、
テラス・マーティンとダブってみえましたもん。
面白いなと思ったのは、ヴォーカルの小田朋美の、日本語を響かせる感性に、
60年代アングラの匂いがしたこと。これは意外だったかな。
そして、圧巻だったのは、今回のライヴ企画の主役である、ドラムスの石若駿。
その重量感は日本人ばなれ、なんてありていな感想が失礼と思えるほどで、
間違いなく世界のトップ・プレイヤーと肩を並べるレヴェルです。

切れ味鋭いとか、スピード感のあるドラマーなら、過去も現在も大勢いますけど、
石若ほどの圧倒的な爆発力と猛進するドラミングは、森山威男以来なんじゃないかな。
その一方で、驚くほど柔らかい手首のスナップが、
しなやかで大きなグルーヴを生み出しているのにも、感じ入りましたね。
この人なら、直径3メートル・クラスの和太鼓でも叩けそう。
そして、ラストの「No Goodbye」で披露した猛烈なプッシュは、
ライヴ最大のハイライトでした。

あのハッピーな「OK」を、ライヴでぜひ踊りたいというオヤジの願望、
ついにかなえられましたよ。
心ゆくまで踊って楽しんだシアワセな日曜の午後でありました。

CRCK/LCKS 「DOUBLE RIFT」 アポロサウンズ POCS1710 (2018)

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