おー、いつかは出てくるとは思っていたけど、ついに出てきましたね、
アミルトン・ジ・オランダの後を追う、頼もしき若手バンドリン奏者が。
サンバウロ州の内陸、アララクアラ出身というカラピッショ・ランジェル。
少し前にアナ・コスタとのデュオ作が出て、初めてこの人を知りましたけれど
ブラジルの新世代ジャズ・レーベルとして注目の集まる
ブラックストリームからの新作ということで、さっそく買ってまいりましたよ。
ジャコー・ド・バンドリンやルペルシ・ミランダといった
先達のバンドリン奏者から学んだショーロの素養をしっかりと持ったうえで、
現代的なインストルメンタル、いまや素直にジャズと呼んでいい領域に
踏み込んだプレイをする人で、まさしくアミルトン・ジ・オランダの後継者。
音楽性はほぼアミルトン・ジ・オランダ・キンテートと同じといっていんじゃないかな。
https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2010-04-22
こちらの編成はピアノ、ベース、ドラムスのカルテットですけれど、
主役のバンドリンだけが弾きまくるのではなく、ピアノ、ベース、ドラムスが
緊密なアンサンブルをかたどる複雑なアレンジを施していて、
かなりテクニカルな演奏を聞かせます。
どんなに速弾きをしても、メカニカルな演奏やアブストラクトにならないのは、
楽曲がいずれも、ブラジルの歌心豊かなメロディ揃いだからですね。
ショーロ、サンバ、フレーヴォとさまざまなフォーマットを借りながら、
そこに変拍子を取り入れるなど、高度なジャズのテクニックを組み込んでいくところが、
まさにアミルトン・ジ・オランダが切り拓いてきた音楽性そのものでしょう。
優雅さとテクニカルなかっこよさが同居するプレイ、
これまでアミルトン・ジ・オランダだけのお家芸ともいえた、
10弦バンドリンの世界を、共に発展させる若きライヴァルの登場です。
Carrapicho Rangel "NA ESTRADA DA LUZ" Blaxtream BXT0021 (2018)