エスニック雑貨屋なんかでよく売ってる、似非アフリカンな仮面。
アフリカ現地の土産物屋に並んでいるコピー商品なら、まだマシな方で、
インドネシアのバリ島あたりで作っているフェイクものをよく目にします。
アフリカの仮面もオセアニアの仮面も見分けがつかない人なら、
なんとも思わないんでしょうけれど、プリミティヴ・アートを愛する者には、
そのあまりなガラクタぶりに、目をそむけずにはおられません。
インチキな匂いがぷんぷん漂うジャケ画に、そんなことを思いながら、
まったく期待せずに聴いてみたんですが、あらららら。
意外にもオモロイどころか、ゴキゲンじゃないですか。
バッタもんの面白さを超越した、アフリカン・ダンス・ミュージックです。
コノノを思わすアンプリファイド・リケンベをフィーチャーした1曲目、
スークース・ギターが活躍するアフロ・ディスコの2曲目、
ヘヴィーなシンセ・ベースに、
コラやカルカベが絡み合うトラックをバックにラップする3曲目、
シャンガーン・エレクトロをパクった4曲目と、
アフリカのトライバルなダンス・ビートを縦横無尽にクロスオーヴァーするオニパは、
イギリス白人ギタリストとガーナ人シンガーのデュオ。
ギタリストのトム・エクセルは、サウンドウェイやトゥルー・ソーツなどのレーベルで、
プロデューサー兼エンジニアとして活躍してきた人で、
なるほどそういうキャリアの人なら、思いつきそうなアイディアですね。
そして歌っているのが、コンゴ人でもなけりゃ、
シャンガーンやツォンガでもないガーナ人で、
アカン語で歌っているっていうんだから、笑っちゃいます。フェイクやん!
アルバムはさきほどの4曲に、
ハウス、ガラージュ、エレクトロニカのリミックス・ヴァージョン3トラックを加えたもの。
クラブでかけたら大ウケしそうな、理屈抜きに楽しめるダンス・アルバムです。
レス・バクスター、マーティン・デニー、アーサー・ライマンのセンスで、
クラブ・ミュージックを通過させた
アフリカン・クロスオーヴァー・エキゾティカでしょうか。
Onipa "OPEN MY EYES" Wormfood MWF005 (2018)