ネルソン・サルジェントの91歳記念盤に続いて、
https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2019-03-28
マンゲイラの長老たちの新作が届きましたよ。
ヴェーリャ・グアルダ・ダ・マンゲイラのアルバムもだいぶひさしぶりで、
いつ以来になるんだろう? 08年作以来になるのかな。
70年に結成されたヴェーリャ・グアルダ・ダ・ポルテイラに比べて、
マンゲイラのサンビスタたちが、ヴェーリャ・グアルダを名乗ってアルバムを出したのは、
もっとずっと後になってからの、90年のことでした。
田中勝則さんが制作したボンバ盤が初アルバムだったんですよ。
今ではお忘れの方や、知らない若い人も多いでしょうが、
日本のサンバ・ファンが誇れる、記念すべき名作でした。
で、グループ名に「ムジカル」が加わった今回の新作、
カーニバルで歌うサンバ・エンレードやマンゲイラ賛歌といった、
これまでのアルバムでおなじみのレパートリーから離れ、
なんとジェラルド・ペレイラの曲集だというのだから、嬉しくなります。
下町のマランドロが歌ったファンキーなサンバを、エスコーラの長老たちが歌うというのも、
意外に思われるかもしれませんけれど、実はとってもゆかりの深い両者。
ジェラルド・ペレイラにギターを教えたのは、ヴェーリャ・グアルダ・ダ・マンゲイラの
初アルバム当時のリーダーだった、アルイージオ・ジアスでした。
ジェラルド・ペレイラは、マンゲイラのメンバーではありませんでしたけれど、
マンゲイラにやはりゆかりのある、ウニードス・ジ・マンゲイラという
別のエスコーラに所属していたんですね。
オープニングの「偽のバイーア女」から、
ジェラルド・ペレイラのおなじみのナンバーがずらり。
ほとんどの歌をタンチーニョが歌っていて、ネルソン・サルジェント、アルシオーネ、
レシ・ブランダン、ゼカ・パゴジーニョがゲストで華を添えています。
バックは7弦ギターのパウローンほか、バテリア陣も実力者揃いでばっちり。
ただ、冒頭の「偽のバイーア女」を聴いて、う~ん?と思ったのも、正直なところ。
この曲をこんなに重ったるく歌っちゃあ、メロディが生きません。もっと弾んでくれないと。
タンチーニョは大好きな歌手なんだけど、
ジェラルド・ペレイラのサンバとは持ち味の違う人で、ファンキーな感覚はありませんね。
https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2009-12-19
ちょっとキャスティングが違っちゃったかなあ。
でも、‘Cabritada Mal Sucedida’ ‘Bolinha De Papel’あたりは、
軽妙なフルートやクラリネットを活かしたアレンジも手伝って、健闘はしているんだけれど。
ジェラルド・ペレイラのサンバの韜晦味が一番感じられるのは、
ゲストのゼカ・パゴジーニョですね。
‘Sem Compromisso’ でタンチーニョと一緒に歌っているんですけれど、
まず声がタンチーニョとまるっきり違う。マランドロの香りがぷんぷん漂う、
ストリートの感覚たっぷりで、もっとゼカに歌って欲しかった気がします。
Velha Guarda Musical Da Mangueira "CANTA GERALDO PEREIRA" Haroldo Costa Produções Artísticas Ltda no number (2019)
ヴェーリャ・グアルダ・ダ・マンゲイラ 「ヴェーリャ・グアルダ・ムジカル・ダ・マンゲイラ」 ボンバ BOM2011 (1990)
Velha Guarda Da Mangueira "VELHA GUARDA DA MANGUEIRA E CONVIDADOS" Nikita Music NK1001-2 (1999)
Velha-Guarda Da Mangueira "VELHA-GUARDA DA MANGUEIRA" Som Livre 0891-2 (2008)