ジュリア・ブトロスのクリスマス・アルバムが12年に出ていたんですね。
アラブのポップスのサイトを眺めてたら、偶然に見つけちゃって、大あわて。
いやぁ、これまでぜんぜん気付かなかったなあ。
あれ、13年にはマジダ・エル・ルーミーまで、
クリスマス・アルバムを出してるじゃないですか。
こりゃなんたることかと、レバノンのお店に早速オーダー。
昨年ヒバ・タワジのクリスマス・アルバムを、
1年遅れでようやく聴いたところでしたけれど、それより5年も前に出ていた、
ぼくのごひいきの二人のクリスマス・アルバムを知らずにいたとは、不覚も不覚でした。
それにしても、レバノンくらいクリスマス・アルバムを出す国は、
アラブ世界にありませんね。
国民の4割がキリスト教徒ですもんねえ。
フェイルーズのクリスマス・アルバムも有名ですね。
ジュリア・ブトロスのクリスマス・アルバムは、
兄のジアド・ブトロスの作曲、伴奏はプラハ市交響楽団で、
ジャズ・ピアニストのミシェル・ファデルによるアレンジという、
12年1月にリリースされた“YAWMAN MA” とまったく同じ布陣で制作されたものです。
これ以上何を求めようかというくらい、完璧なプロダクションにのせて歌う
ジュリアの慈愛に満ちた艶っぽい歌いぶりに、もうメロメロです。
児童合唱団の子供たちと歌うユーモラスな曲など、
今回はさすがにクリスマス・アルバムということもあり、
愛国心やアラブの団結を訴えかける曲はないようですね。
4曲目の、ハーモニカをフィーチャーしてラテン・ボレーロにアレンジした
トロけるような曲など、そっと語りかけるようなジュリアの歌い口に、
ああ、いい歌手だなあと、しみじみ思います。
マジダ・エル・ルーミーのクリスマス・アルバムはミニ・ブック仕様で、
内容は歌詞付きの写真集となっています。
こちらはベルリン交響楽団が伴奏を務めていて、ジュリアのアルバム同様ゴージャス。
ジュリア・ブトロスのクリスマス・アルバムとの違いは、
ミュージカル/オペラ調のプロダクションが目立つことでしょうか。
マジダらしい温かみのある声が発揮されたキャロルはステキだけれど、
オペラ調の強く声を張って歌う曲や男性コーラスが入る曲などは、
ちょっとぼくの好みとは違うかなあ。
特にラストがオペラチックな曲で終わるのは、ちょっと後味悪し。
というわけで、ジュリア・ブトロスのクリスマス・アルバムの方が
断然お気に入りですけれど、どちらもレバノンを代表する歌手にふさわしい
力のこもった制作ぶりが光る、クリスマス・アルバムです。
Julia Boutros "MILADAK" Longwing no number (2012)
Magida El Roumi "NOUR MEN NOUR" V. Production no number (2013)