バイーアらしいアフロ・リズムにのせて、
ヴォイス・パーカッションの多重録音で始まる冒頭からぐぐっと引き込まれる、
バイーア出身の新人サンフォネイロ(アコーディオン奏者)のデビュー作。
続いて、バイオーンのリズムにのせてアコーディオンがすべり込んでくるところで、
もうツカミはオッケーというか、前のめりになるしかありません。
途中、ギターがジャジーな速弾きを繰り出すところで、降参です。
アコーディオンの腕前は確かで、随所で聞ける軽やかな運指やリズム感に、
技量の高さがはっきりとわかります。
自作曲のショーロ‘O Pó da Rabióla’ や、
ガロートの名ショーロ‘Jorge do Fusa’ での歌ゴコロいっぱいのプレイにも、
それはよく表れていますね。
本人が歌うシロウトぽい素朴な歌い口も、味わいがありますよ。
ナザレー出身のサンビスタ、ロッキ・フェレイラ作の‘Dona Fia’ で聞かせる
温かなヴォーカルは、ロッキ・フェレイラのオリジナルを凌ぐ仕上がりじゃないですか。
MPBのセンスを十分に発揮したサウンド・プロダクションにも、
音楽性の高さが発揮されています。
ラストのフレーヴォ‘Dona Fia’ まで、北東部の多彩なリズムを活かしながら、
確かなテクニックで聞かせたサンフォーナの快作。
ドミンギーニョスに師事して、ジルベルト・ジルやイヴェッチ・サンガロなどに
引っ張りだことなっている新進アコーディオニスト、
メストリーニョの良きライヴァルとなる、頼もしい新人の登場です。
Junior Ferreira "CASA DE FERREIRA" Aruwá Produções 2018781165 (2018)