うん、やっぱりロバート・ランドルフは、
ゴスペル・ルーツとしっかり向き合った時が、一番良いね。
前作の“GOT SOUL” に違和感を感じたのは勘違いじゃなかったなと、
思いを新たにした新作です。
“GOT SOUL” は、ギターにエリック・ゲイルズ、ベースにデリック・ホッジ、
オルガンのコリー・ヘンリーというロック/ジャズで今話題のミュージシャンを
大勢迎え入れたアルバムでした。これって、ロバート・ランドルフ名義で出すならまだしも、
「ザ・ファミリー・バンド」の看板で出すんじゃあ、偽りありだよねえ。
ロバート・ランドルフは、これまで個人名義でアルバムを出したことは一度もないし。
ご存じとは思いますが、
ロバート・ランドルフ&ザ・ファミリー・バンドの「ファミリー」とは、
ロック・バンドが仲間を指して比喩的に言うものではなく、
本当の家族(親戚含む)を意味するものです。
ゴスペルでファミリー・グループといえば、ステイプル・シンガーズが有名ですけれど、
ロバート・ランドルフも同じ家族バンドなのです。
幼い頃から教会でともに育ってきた家族の絆が、
ロバートのゴスペル・ルーツにしっかりと刻印され、その音楽性を確かなものにしている。
ロバートの音楽を、そのように捉えているぼくからは、
「ジミヘンの再来」といった言葉が躍るギター・ヒーロー的なアルバム制作は、
求めるものが違って、違和感が残るんですよねえ。
今作はアメリカーナやカントリーのシンガー・ソングライターの多くを
手掛けるプロデューサー、デイヴ・コブを起用。
ぼくは本人がプロデュースした13年作“LICKETY SPLIT” を最高作と思っているので、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2013-12-08
他人にプロデュースを任せる必要なんてないのにと思うんですけれどねえ。
“LICKETY SPLIT” の爆発力には及ばないものの、本作のプロデュースは成功しています。
セイクリッド・スティールを弾きまくり、
ロックやファンク色の濃いサウンドをまといながらも、
そこに展開される高揚感は、まぎれもなくゴスペル。この基本さえ揺らいでいなければ、
ロバート・ランドルフ&ザ・ファミリー・バンド、向かうところ敵なしです。
Robert Randolph & The Family Band "BRIGHTER DAYS" Provogue/Dare PRD7585-2 (2019)