ティワ・サヴェイジとアフロビーツのクイーンの座を争う、
イェミ・アラデの4作目を数える新作です。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2018-06-19
ビヨンセの『ライオン・キング:ギフト』にフィーチャリングされて、
ますます鼻息を荒くしているイェミですけれど、
新作でもナイジェリアを代表するポップ・スターらしい貫禄を示しているのは、
さすがですねえ。キャッチーな曲が並び、トラックの粒も揃っています。
今作では、これまで慎重に避けてきた政治的なトラックがあり、
ボーナス・トラックの前の、アルバム・ラストにそっと置かれた
レゲエ・ナンバーの‘CIA (Criminal in Agbada)’ が現地で話題を呼んでいます。
フェラ・クティにならってタイトルの頭文字を取ったこの曲、
Agbada アバダとはヨルバの男性用伝統衣装で、金持ちを象徴する衣装であると同時に、
たっぷりとしたみごろに、他人から盗んだ物を隠していることを暗喩しています。
今回はフィーチャリング・ゲストが控えめで、
ダンスホール・レゲエーのダンカン・マイティと
ノリウッド女優のフンケ・アキンデレ(歌ではなくセリフの出演)に、
アンジェリク・キジョの3人のみ。こんなところにも、
イェミが実力をつけたことを感じさせるじゃないですか。
ところでフンケ・アキンデレが最後にセリフを入れる‘Poverty’ が、
これまでのイェミの作風になかったメロディで、まるでシミが書いた曲のように聞こえます。
シミの‘O Wa N'be’ にすごく似たムードで、これ意識してるよねえ?
この曲は、スワヒリ語ヴァージョンのトラックもボーナスとして、最後に収められています。
なぜかクレジットがないんですけれど、ケニヤ人シンガーのイヴリン・ムトゥアが
フィーチャーされているとのこと。
この曲以外にも、ゆったりとしたルンバの‘Yeba’ など、
これまでになく肩の力が抜けた歌声を聞かせる本作、
チャーミングな曲が多いのも、花丸もの。
過去作のなかでは、一番好みだな。
Yemi Alade "WOMAN OF STEEL" Effyzzie Music no number (2019)