う~ん、この歌い口! たまりませんねぇ。
今のアンゴラの若手からは出てくることのない、野趣に富んだヴォーカル。
包容力のある温かな歌声から、人柄が伝わってくるかのようです。
内戦で経済が崩壊したアンゴラ国内で歌手活動を続けた苦節を考えれば、
その朗らかな歌声は驚くべきことで、人を笑顔にさせる力に感じ入ります。
ジヴァゴことアダン・ゴンサルヴィスは、54年ルアンダ生まれ。
77年、アンゴラ南西部沿岸ナミベを拠点とするベンティアバ・ショウに参加して
プロの歌手となり、83年フェノメナル在籍時に録音した‘Avó Tete’ がヒットします。
その後ソロ活動に転じ、89年に‘Ramiro’ が大ヒットとなって成功しました。
‘Ramiro’ は、のちにパウロ・フローレスが05年のライヴ盤でもカヴァーした名曲です。
27年間の内戦が終結した02年から、初ソロ・アルバムの制作にとりかかり、
ジヴァゴのシグニチャー・ソングである
‘Avó Tete’ ‘Ramiro’ の2曲の再録音を含む“KIAUBA” を、
08年になってようやく完成させました。
本作はそのデビュー作から11年を経て出た新作。
セカンドと数えてよいのかどうか、新たにレコーディングした6曲と、
ボーナス・トラックにデビュー作で再演した
‘Avó Tete’ ‘Ramiro’ を追加したミニ・アルバムとなっています。
新たにレコーディングした6曲のうち‘Mendonça’ は、
65年結成のアンゴラの最古参バンド、オス・キエゾスの92年のアルバム
“KENIEKE TUENE - NÓS SOMOS ASSIM” で歌っていた曲です。
ここではアコーディオンのカクシ味も利いた、
ディカンザが刻むリズムが爽快なダンサブルなセンバに仕上げていますね。
柔和な表情のジヴァゴの歌を守り立てる、
プログラミングをいっさい使わない人力演奏がまた良くって、
古き良きセンバの味わいに富んだ楽曲の良さを引き立てています。
アフロ・ズークのニュアンスを加味したキゾンバの‘Luminga’ の切なさなんて、
グッときますねえ。
Jivago "NGUEZA N’DINDI" Xikote Produções no number (2019)