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エレクトロニック・ミュージック・ビギナー宣言 ティコ

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Tycho  SIMULCAST.jpg

朝の通勤で絶賛ヘヴィ・ロテ中の長谷川白紙の『エアにに』。
はや3か月を過ぎようとしていますが、交代の気配はまったくありません。
エレクトロニック・ミュージックにこれほどハマった経験がなく、
自分自身でもびっくりしてるんですが、このアルバムのどこにヤラれたかといえば、
一にも二にも、ビートの快楽につきます。

これまで電子音楽って、
鍵盤系の音がサウンドのカギを握っているとばかり思っていたのに、
長谷川白紙の場合、キックやスネア、シンバル、ハイハットといった
ドラムスのパーツやパーカッションの音がとびっきり新鮮で、
そこに猛烈に惹かれたんです。

エレクトロニック・ミュージックは完全に門外漢なうえ、
ハウスやテクノ方面の聴取体験も乏しいので、
類似の音楽は他にあるのかもしれませんが、
これほど選り抜かれた音色は、ぼくにとっては初体験で、
ビートの音色の美しさに心底ヤラれてしまいました。
金属的な響きのパーカッションが高速ではじけるサウンドなど、
トランシーなガムランを電子音楽にトレースしたかのようじゃないですか。

がぜんエレクトロニック・ミュージックに興味がわき出して、
評判の新作のなかから、ジャケットにココロ惹かれたティコを聴いてみました。
エレクトロといっても、かなりバンド・サウンドで、
ポスト・ロックの質感が強いのが少し意外だったかな。
なんせ門外漢なので、ティコの過去作はまったく聴いたことがないし、
ティコをよく知るファンには、トンチンカンな感想かも知れませんが。

衝撃的だった長谷川白紙のリズムの快楽は、ここにはありませんでしたが、
エレクトロの洗練されたサウンドは、オーガニックな質感があって、
開放的で柔らかな響きに夢心地にさせられましたねえ。
すっかり引き込まれていたところ、このアルバムは、
前作“WEATHER” のインスト・ヴァージョンだということを知り、
あわてて前作も買ってみたんですが、
ぼくはインスト盤の“SIMULCAST” の方が断然好きだな。

Tycho  WEATHER.jpg

メロディとハーモニーが精緻に練り上げられていて、
ヴォーカルがないぶん、サウンドがより雄弁になっているんですね。
クリアな音像と、たゆたうシンセ音が、美麗なサウンドスケープを描いていて、
豊かにレイヤーされたアンサンブルのなかでは、ヴォーカルではなくて、
ヴォイスとして組み込まれた方が、よりサウンドが立体的になっているのを感じます。

そんなわけで、これまた心惹かれる作品とめぐり合えたわけなんですが、
エレクトロニック・ミュージック・ビギナー宣言をして、
これからもぼちぼち聴いていこうかと思っている次第であります。

Tycho "SIMULCAST" Mom+Pop/Ninja Tune ZENCD260 (2020)
Tycho "WEATHER" Mom+Pop/Ninja Tune ZENCD257 (2019)

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