いやぁ、痛快ですねえ。
アフリカ音楽が持つダイナミズムを、よくぞここまでパッケージしたものです。
はじめて聴いた時、ぶっちゃけたサウンドと音圧に圧倒されたんですけれど、
何回となく聴き返すほどに、これはかなり計算して作り込んだサウンドで、
イキオイいっぱつのセッションとは、ワケが違うとことに気付きました。
ベニン・アンテルナシオナル・ムジカルは、
ラジオ・フランスと欧州放送連合の共同企画によって、
ベニンのミュージシャンとシンガー7人を集めたプロジェクト。
すでに2年をかけ15か国を回った世界ツアーも終えていて、
ドキュメンタリー映画“BIM EXPERIENCE” が完成しているようです。
これも観てみたいなあ。
ベニン伝統のヴードゥーのリズムに、伝承曲を立ち位置としながらも、ファンク、
ヒップ・ホップ、ンドンボロ、エレクトロ・ポップを消化したサウンドをバックに、
エネルギッシュなヴォーカルが炸裂する快感!
やみくもなエネルギーが、整理されたサウンドに埋没していないのが、
嬉しいじゃないですか。
2曲収録されたライヴ・レコーディング以上に、
スタジオ録音のエネルギーがハンパなくって、
ライヴのダイナミズムがびんびんと伝わってきますね。
ヴィヴィッドな音塊を次々と投げつけてくるトラックの連続に、失禁寸前です。
アナログ・アフリカがT・P・オルケストル・ポリ=リトゥモを
しつこくリイシューしてきたことで、耳慣れしたベニン特有のメロディや、
ゴスペルを背景としたコーラス、
さらにエレクトロを施してコズミック・サウンドに仕立てた、
ヴドゥン(ヴードゥー)の曲など、ベニンの過去・現在・未来をつないだレパートリーは、
ベニン音楽の可能性を拡張させることに成功しています。
以前、T・P・オルケストル・ポリ=リトゥモの新作にも、
ベニン音楽の新展開が期待できると思ったものの、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2016-11-18
なかなかそのあとに続く動きが見られなかったんですが、
ベニン・アンテルナシオナル・ムジカルが、
そのバトンを受け取ってくれましたね。
アンジェリク・キジョは、こういう優れたプロジェクトに何か助力してあげないのかな。
最後に、由緒ある「ベニン」の名を
フランス語読みで「ベナン」と書くのはガマンならないので、
英仏語混在のカナ書きをしているのをご容赦のほど。
Benin International Musical "BIM #1" Worldtour no number (2019)