ギャング・スターの新作? え? どーゆーこと?
グールーはとうの昔に亡くなったので、DJプレミアのソロ・プロジェクなのか???
不思議に思いながら、店頭のヘッドフォンを付けたら、
なんとグールーのラップが聞こえてくる。
あとで調べてみたら、05年から09年までの間に、
グールーがレコーディングしていた30曲分のトラックから、
グールーのMCを取り出して新たなビートで再構成し、このアルバムを完成したんだそう。
グールーの死去から9年。生前に復活を果たせなかった
ギャング・スターのファイナル・アルバムとして、ケジメをつけた作品なんですね。
うわー、イントロからいきなり、アガるじゃないですか。
彼らの代表曲‘DWYCK’ のライヴ・パフォーマンスのフレーズをループして、
バックで‘Work’ とかの曲をつないでいく構成となっていて、
DJプレミアのDJプレイを生で観てるような錯覚に陥ります。
もろ90年代なサンプリングを刻んで再構築した
チョップ使いのジャジーなヒップ・ホップには、強く反応してしまうんですよねえ。
なんせずっと苦手としていたヒップ・ホップに、
ようやく反応できるようになった最初のきっかけが、
90年代のイースト・コーストのヒップ・ホップだったもんで。
ファンカデリックの‘Get Off Your Ass And Jam’ をサンプリングしていたり、
ニヤニヤが止まりません!
J・コールをフィーチャーした‘Family And Loyality’ にも泣けますねえ。
ピアノとベースをフィーチャーした、典型的なイースト・コーストのジャジー・サウンド。
フィーチャリングの仕事はこれを最後にするといったJ・コールの心意気にも、
グッとくるじゃないですか。
ニーヨと女性ラッパーのニッティ・スコットが参加した‘Get Together’ も、
グールーとの3人の強烈な個性の違いが、絶妙なバランスとなっていて聴きものです。
Q・ティップ、グループ・ホーム、ロイス・ダ・ファイヴ・ナイン、
ジェルー・ザ・ダマジャといったゴールデン・エイジのトップ・スターたちが顔を揃え、
DJプレミアのグールーへの思いが詰まった、ギャング・スターのリユニオン・アルバム。
J・コールを支持する若いファン層には、どう聞かれるんでしょうか。
Gang Starr "ONE OF THE BEST YET" Gang Starr GSE001CD (2019)