ベロ・オリゾンチ出身、ミナス新世代ギタリストのデビュー作。
ドレッド・ヘアと精悍な顔立ちが、
なかなかにインパクトのあるルックスのギタリストであります。
アクースティックとエレクトリックの両刀使いで、
そのギター・スタイルはいたってオーソドックスなものですけれど、
4管を含む9人編成によるカラフルなサウンドが聴きどころ。
ギタリストとしてより、作編曲家の才能が発揮されたアルバムといえます。
リズム・セクションの面々はみな、ベロ・オリゾンチで活動している音楽家です。
ショーロとサンバ・ジャズが交互する‘Choro De Maria’
ビリンバウのイントロにアフロ・サンバかと思いきや、
するっとミナスのメロディに移行する‘Sol E Lua’、
ミナス節としか呼びようのない‘Fronteira’、
フラメンコのパルマを取り入れた‘Esfinge’、
フォローなのに、メロディはミナスという‘Lampião e Maria Bonita’ など、
いずれもミナスを全開にした、歌ごころ溢れる楽曲ばかり。
4管のハーモニーとギターの絡みが、これほどしっくりといっているのは、
きちんとスコアに落とされているからでしょうね。
ラージ・アンサンブルのアレンジもイケそうなスキルの持ち主じゃないでしょうか。
デビュー作としては、出来すぎともいえる完成度で、その流麗さに脱帽です。
Samy Erick "REBENTO" no label no number (2017)