ジスコベルタスのリイシューが息長く続けられていますね。
今回のラインナップで、おっ!と思わず声を上げたのが、
ガロート(ギター)、シキーニョ(アコーディオン)、ファファ・レモス(ヴァイオリン)の
名手3人が集まったスーパー・グループ、トリオ・スルジーナのムジジスク盤です。
トリオ・スルジーナは、リオのラジオ局が51年にスタートさせた
「ムジカ・エン・ナシオナル」という番組の伴奏を務めるため、
52年に結成されたんですね。
初レコードが出されたのは翌53年で、晩年のガロートがこのトリオで残したレコードは、
53年と54年の10インチ盤2枚だけです。
トリオ・スルジーナ名義のムジジスク盤はこの後も続きましたが、
55年にガロートが死去して、ギタリストは交代となります。
最初ジスコベルタスのカタログを見た時は、初レコードのジャケット・カヴァーだったので、
53年作のストレート・リイシューかなと思ったんですが、さすがはジスコベルタス。
54年作のトリオ・スルジーナの4曲を追加して
(残り4曲はレオ・ペラッキ・オーケストラ)、
ガロート在籍時のトリオ・スルジーナの全録音を復刻しています。
今回のCD化ではムジジスク盤のセカンド・プレスのジャケットを採用していますが、
ずいぶんとくすんだ色調になってしまっていますね。
音質の方もだいぶやせていて、ぼくの持っている10インチ盤とあまり変わらないのは、
ムジジスクのオリジナル音源が、もともとあまり良くないからでしょう。
ちなみに、ファースト・プレスの10インチ盤はカラー・ディスクでした。
ロマンティックなイージー・リスニング・アルバムですけれど、
ガロートのギターに聞けるサンバのノリやモダンなコード感覚、
ファファのボサ・ノーヴァ誕生を予言するソフトな歌唱スタイル、
シキーニョのハーモニー・センスなど、当時最新の粋なサウンドが楽しめます。
シキーニョのトダメリカ録音は、ずいぶん昔にCD化されたことがあったけれど、
ファファ・ラモスなんてぜんぜんCD化されないなあ。
ルイス・ボンファとの共作なんて、名作なんだけれども。
引き続きジスコベルタスの仕事に期待しましょう。
Trio Surdina "TRIO SURDINA" Discobertas DBDB021 (1953)
[10インチ] Trio Surdina "TRIO SURDINA" Musidisc M007 (1953)[1st Press]
[10インチ] Trio Surdina "TRIO SURDINA" Musidisc M007 (1953)[2nd Press]
[10インチ] Trio Surdina, Léo Peracchi e Sua Orquestra "ARY BARROSO" Musidisc M008 (1954)
[10インチ] Chiquinho "CHIQUINHO" Todamérica LPPTA25 (1954)
[10インチ] Fafá Lemos "E SEU VIOLINO COM SURDINA" RCA BPL3023 (1957)
[LP] Fafá Lemos "O TRIO DO FAFÁ" RCA BPL7 (1958)
[LP] Fafá Lemos "UMA NOITE NA BOÎTE DO FAFÁ" RCA BPL22 (1958)
[LP] Fafá Lemos "SEU VIOLINO E SEU RITMO" RCA BBL1026 (1959)
[LP] Fafá Lemos "DÓ RÉ MI FÁ FÁ" RCA BBL1145
[LP] Fafá Lemos "HI-FAFÁ" Odeon MOFB3045
[LP] Fafá Lemos, Luiz Bonfa "BONFAFÁ" Odeon MOFB3047