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緻密にして雄大 アーロン・パークス

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Aaron Parks Little Big 2.jpg

コロナ禍に見舞われた2020年を象徴するジャズとして、
ダン・ローゼンブームのアルバムに加えて、アーロン・パークスの本作が、
のちのちの個人的な記憶として残りそうな予感がするなあ。

フリーに寄ったエネルギーを強烈に放っていたダン・ローゼンブームとは対極の、
耽美で繊細なサウンドスケープを生み出す、緻密なアーロン・パークスの音世界。
抒情的な美しさのなかに、緊張や狂気をはらんだエモーショナルな展開が
たびたび訪れて、不穏なアウラを宿します。
ビル・エヴァンスの美意識を受け継ぐかのようなアーロンのピアノが、
2020年の病んだ世界を鎮めるかのように響くのが、ことさら強い印象を残します。

アーロンの多種多様な鍵盤が生み出す美しいハーモニーに、
歪んだフィードバックで絡んでくる、グレッグ・トゥーヒーのギター。
グレッグのギターがときおり不調和を持ち込み、アーロンの音風景を、
異次元の情景へと動かしていきます。
アーロン・パークスとグレッグ・トゥーヒーの二人が前面に出て絡み合う一方、
ドラムスとベースのリズム・セクションは脇を固めることに徹していて、
二人に即興を促しているようですね。

アーロンが弾く鍵盤のレイヤーが、ほの暗いハーモニーを生み出し、
たった4人の演奏と思えぬラージ・アンサンブルのようなスケール感のあるサウンドを
組み立てているのも、細部まで作り込まれたアーロンの作編曲の素晴らしさでしょう。
雄大なアメリカの原風景を想起させる、イマジネーション豊かな音世界が、
時に躍動し、時に深い瞑想へと引き寄せ、聴く者に感動を呼び覚まします。


Aaron Parks "LITTLE BIG Ⅱ: DREAMS OF A MECHANICAL MAN" Ropeadope RAD564 (2020)

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