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90年代も絶好調 パット・トーマス

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Pat Thomas  SIKA NANTEE.jpg

ファンキー・ハイライフの名シンガー、パット・トーマスがカムバックを果たし、
絶賛活躍中であることは、もうここでも何度か触れたとおり。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2015-06-21
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2019-12-07

80年代に経済破綻したガーナを離れ、
パットはドイツ、ロンドン、トロントなどを点々としながら、
在外ガーナ人コミュニティのインディ・レーベルから作品を出し続けていましたけれど、
この時代のCDは入手が難しかったんですよねえ。
今回入手した99年作のCDも、初めて目にしました。

打ち込みをベースに、ギター、サックス、パーカッションを加えただけの、
いかにも低予算な作りなんですけど、これがなかなか良くって、
ここのところのお気に入りになっているんです。
この時代のハイライフといえば、ドイツへ脱出したガーナ人たちの間で、
ボガ・ハイライフが流行した時代なんですけれど、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2015-03-25
ハイライフのメロディを捨て、ナンパなガーナのAORに成り下がった
ボガ・ハイライフとは志の異なる、一時代を築いたスター・シンガーらしい、
ハイライフ直球ど真ん中のサウンドが泣かせます。

‘Menyi Me Mma’ なんて、ハイライフのメロディが、
こんなメロウ・グルーヴになるのかというオドロキのトラックで、
打ち込みのリズムが奏でる、まろやかなビートが昇天もの。
クラブでかけたら、ぜったいウケるよ、これ。
当時のボガ・ハイライフをやってた連中に聞かせてやりたかったよなあ、これを。
同じメロウにするなら、こんな風にやってみろって。

Pat Thomas  Agona By Bus Live.jpg   Pat Thomas  DZE NYAME DI.jpg

95年にパットの自主レーベルから出した“AGONA BY BUS LIVE” ではまだ人力演奏で、
ハイライフの泥臭さを残していたのが、翌96年の“DZE NYAME DI” では、
泥臭いハイライフのメロディはそのままで、
サウンドをメロウにトリートメントしていて、すでに本作の萌芽はあったといえますね。

パットの歌い口やコーラスの微妙な不協和ぶりも、
いかにもハイライフらしくって、たまんない。
ニュアンスのある柔らかいグルーヴも、打ち込みらしからぬというか、
センスのいい人がプログラミングすると、違うもんだなあと感心しきり。
プログラミングには、パットと、ギターのパー・ジョー、
パーカッションのコフィ・アッカーの3人がクレジットされているけれど、
誰がキー・パーソンだったんだろう。
恵まれた制作環境になかった90年代も、絶好調だったことのわかる、
知られざるパット・トーマスの傑作です。

Pat Thomas "SIKA NANTEE" Megastar 99-4 (1999)
Pat Thomas "AGONA BY BUS LIVE" PatCo CDPP1002 (1995)
Pat Thomas "DZE NYAME DI" PatCo CDPP004 (1996)

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